あおいそら

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後悔先に立たず

 あの謎ちゅー事件…あれ以来ありがたいのか三成に会うことは無いまま、朝を迎えた。
 悩みすぎて眠れないかと思ったが、案外私の神経はタフだったようで…気がついたら寝ていたので、寝不足というわけでは無いが…朝日が眩しい。
 昨日は休みだったけど、今日は生憎仕事で…うわぁ、三成を起こしたり、ご飯持って行ったりしなきゃ!…辛い。

 ボイコットしたいのを我慢して、渋々寝間着から仕事着に着替えた。
 うん…昨日のことは忘れよう。そうしよう。なんて考えていたからか、いつもより着替えに時間がかかった気がするけど…多分気のせいだろう。

「失礼します、三成様。
 朝でございます」

「…あぁ、入れ」

 …ん?今、三成の声が聞こえた??
 いやいや、いつも私が起こすまで死んだように寝ている三成が起きているハズがない。

「おい、クコ。…さっさと来い」

 …げ、幻聴じゃない、だと!?これは…天変地異の前触れ!??
 しかも、なんか滅茶苦茶怒ってるというか、イラッとしてらっしゃる!

「へ、へい!只今っ!!」

 驚きや命の危険、その他諸々で…変な返事を返しながら転がるように部屋に入ると、平服を着た三成が立っていた。
 着替えまで済ましているとか、本当に何があった!!?と動揺しながら畳に膝をつき、頭を下げる。

「秀吉様にクコを許嫁として紹介する。
 早く支度をしてこい」

 いつもの如く偉そうな声が頭上から降り注ぐが…内容がおかしい。
 イイナズケ?なにそれ、食べれるの?っていうぐらいおかしい。
 下手しなくても怒られることを重々承知で、恐る恐る顔を上げて三成に理由というか、訳を聞くために口を開いた。

「失礼ながら三成様、許嫁とはどういう事でございましょう?」

 言った瞬間、ギュン!と眉間に皺が寄ったのが見えた。
 これは…マズい。

「貴様、嘘をついたのか…?」

 ギリギリとはき出すように紡がれた言葉と共に、ヤバげな黒いモヤモヤ…絶対闇の婆娑羅が三成から吹き出てくる。
 あっ、絶賛命の危機。
 それにしても、何のことだろうか?
 私が三成に嘘をつくなんて…そんなバレた時に命を絶たれるような危険なマネ、するわけがない!
 が、そういえばさっき忘却の彼方へと放り捨てた昨日の記憶を思い出す。

 …ほっぺちゅー。

 あ、これじゃない。
 思い出して赤くなりそうになった頬を手で押さえつつ、さらに記憶を遡る。

"好ましく思っている"

 その時は、何言ってんだコイツ?感が凄くて気がつかなかったけど…もしや、告白されてた??
 え、これ…すみません、そういう意味で言ったんじゃないんです。とか言ったら…死んじゃうパターン?
 これ、詰んでますやん。

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