あおいそら

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空気

 一通り自己紹介も終わってすぐ、正一が設置したノートパソコンの画面がパッと付いたかと思うと、のんびりとした声が聞こえた。

『…あっ、もしかしてウチが最後?』

 画面に映るツナギ姿の金髪青年は、スパナである。
 そのスパナ自身は、一斉に向いた視線に少し困ったように頭をかいて…そろそろ体験始めよっか。と視線を逸らした。

「…そうだね。
 正一君、すぐに始められる?」

 家主の沢田君が正一の方に向いて問いかけると、大丈夫!と大きく頷いて、昨日私が装着したヘルメットのような謎の装置を皆に配布した。…どうやら、事前に沢田君の家に用意していたらしく押入れから人数分取り出していた。

「…あ、クコちゃん。
 ベッド使って?」

 ヘルメットを被ろうとした時、思いだしたように沢田君が声を上げた。…ありがたいけど、みんな床に転がってるのに私だけベッドとか。

「ありがとう。
 …でも、私だけベッドとか悪いし、床で全然いいよ」

 そう言って寝転がろうとしたが、テメェ…十代目の優しさを踏みいじるんじゃねぇ!と騒ぐ忠犬獄寺や俺達全然気にしないぜ!と爽やかに笑う山本によって…いつの間にかベッドで寝転がっていた。

『みんな、準備はいい…?
 いくよ!』

 スパナのその声と共に、起動音と浮遊感を感じ…昨日とは全く違う、だだっ広い草原に立っていた。
 ニギニギと手を開いたり閉じたりしても、昨日同様違和感はなかった。

「…凄いね!」

 さっきまで大人しかった古里君が興奮気味に叫びながら、少し離れたところに立っている沢田君に駆け寄っている。…私が昨日感じた興奮ときっと同じモノだろう。
 そういえば、私もだけどみんな黒いスーツ姿で…マフィアっぽい。いや、実際過半数がマフィアの人なんだけども。

「…えっと、皆の装備とかも準備してあるんだ。
 スパナ!」

『わかってる』

 いつの間にか隣に立っていた正一が、スパナ!と叫ぶと、返事とともに白いテーブルと、私が昨日みた箱と同じような箱が人数分、それからグローブにダイナマイト、拳銃、日本刀なんかもあらわれた。…あぁ、使い慣れた武器ってヤツですか?
 吸い寄せられるように机に群がるのを少し離れたところで見ていたけど、みんな迷いなく箱と武器を手に取り装着した。

「…はい、クコちゃんの分。
 ボックスは腰のキーを使って開けてね」

 正一はじっと立っていた私にボックスと、黒いショートブーツというかブーティ?を渡して、どうやって開けるんだよ!と騒いでいる獄寺に声をかけていた。
 …とりあえず、今履いているパンプスからブーティに履き替えておく。

「…なるほどな」

 すぐ近くにいたリボーンの声が聞こえると、リボーンのボックスが光って…中から凄く緑のカメレオンが出現した。

「…って、レオンじゃん!」

「流石のチョイスだな、正一」

 沢田君のツッコミに、だよね!と声に出せないので心で頷いていたが、そのツッコミを無視するようにリボーンは正一を褒めている。…その話を振られた正一は困った顔をしながら、ありがとう。と返事をしてるし。


「う、うわぁああ!!」

 しばらくリボーンとレオン?の触れ合いを見つめていると、突然悲鳴が聞こえた。…ビックリしながら声のする方を向くと、私が昨日出したワンコ(仮称)がペロペロと倒れた古里君の上に乗っかって顔を舐めている。…私以上に懐かれてますね、古里君。

「あはは!
 メッチャ懐かれてんのなー!」

 ベリッ。と古里君をペロペロ攻撃から救ったのは山本で、傍らには賢そうなワンコが寄り添っている。
 じゃあ獄寺はあの猫なんだろうか?と探すと、想像通り猫と戯れていた。…まぁ、戯れるというよりケンカしてる感じのが近いかもだけど。

 …昨日の子は古里君の元にいるし、私の今回のパートナーは誰だろう?と腰の鍵を取り出し、正一から受け取ったボックスを開ける。

「ガォォオ…」

 思ったより大きな光を放ったボックスから現れたのは、真っ黒なライオンのメスだった。…これはもしかして、アルビノの反対のメラニズムとかいうヤツですか?
 私の足元に現れた黒ライオンは、私に近づき、頭を擦り寄せてきた。…可愛い。

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