あおいそら

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厄介事が舞い込んできた日

 前田慶次遭遇事件から数日たったが、平和な毎日を過ごしていた。
 まぁ、スリルとサスペンスの日々とか嫌だから全然いいんだけど。とか思いながら、空いた時間に店前の掃除をして、ついでに店の裏の掃除もする。
 店は山の中腹あたりにポツンとあるので、当然裏は山というか木だらけ。
 うっそうと生い茂った茂みを切りそろえたり、雑草を始末したりして少しは見栄え良くなったかなー。と頷いていると奥の茂みが揺れた。
 こんな山奥だしイノシシとか野生の動物かもしれないし、もしかしたら迷子?なんて思いながら、野生の動物だったら危ないので回れ右して店に戻ろうとした、その時。

「…待て」

 息も絶え絶えで、かすれた声が聞こえた。
 あわてて茂みを分け入ってみると、傷だらけのボロボロで顔色の悪いお兄さんが倒れていた。
 思わず叫びそうになった口を閉じてそっと近づく、どうやら意識を失っているようで目を閉じたまま動かないので、どうしようか悩んだ挙句…なんとか引きずって店の近くにある家に運ぼうと決意した。
 …のはいいけれど、絶対重いよコノ人。だって鎧着てるもん。と内心ブツブツ文句を言いつつ、傷口に触れないように鎧を…どうなってるのこの鎧?とりあず、ハサミ持ってこようと立ち上がってからもう一度お兄さんを眺める。
 この辺で戦とか聞いたことなかったんだけどなぁ…山の向こうとかかな?ってか、白髪にこの特徴的な鎧、そして家紋…石田三成じゃね?

 まぁ、そんなことより早く止血しないと死んでしまうわ!と急いでハサミを持ってきて鎧を固定してる紐を切断して軽くしてから、ついでに持ってきた裂いた布で止血して、何とかお兄さんを引きずって家まで運んで縁側に乗せて部屋に転がし入れた。
 本当に気絶してくれてよかった…いや、自分で動いてくれた方がよかったかもしれない。と今更なことを思いつつ、自分の使っている布団にお兄さんを突っ込んで寝かせた。
 とりあえず、おじさんとおばさんにこの事を報告してから、お兄さんの顔の泥も気になるから濡れタオルじゃなくて、手ぬぐいも持ってこようと立ち上がった。

「おい、お前…」

 かすれた声でお兄さんが目を覚ましたらしく声をかけてきた。
 やっぱり雑に扱ったのが原因で起きちゃったのかな?と心配しつつ、枕元に近づいて正座で座り、どうしましたか?と比較的丁寧に声をかける。

「ここはどこだ」

「ここは山の中腹にある"桜花亭"の離れですよ」

「どこだそこは」

 ですよねー。と苦笑しながら、怪我ひどいんですから、今は休んでください。と言い残して立ち上がると、どこへ行く。と声をかけられたが、おとなしく寝ててください。と言って部屋を出た。
 とにかく、ここの主のおじさんとおばさんにちゃんと報告するのが最優先。



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- ©2015/11/17/Thu/AOISORA -