メグレズ
「何ぃ?!!またやられただとぉ〜?!!」
朝から城中にスクアーロの声が轟く。
任務から帰ってきたベルフェゴールとマーモンの言葉にたいしてだ。またしても彼等は獲物を横取りされたら。
「もういい!!次は俺が片付けてやる!」
談話室に揃った、ザンザス以外の幹部を残して彼は出て行った。
スクアーロが向かったのは言わずもがな、ザンザスの部屋だ。ノックもせずに「俺だぁ 入るぞぉ!」と言うと彼は扉を開ける。無言で睨みつけてくるザンザスに、今日は機嫌が善いらしいと物が何も飛んでこないことから判断する。
「ゔお゙ぉい!ベルとマーモンのターゲットも先に殺られたぁ!!
もうこれ以上しくじるのは俺らの面子にかかわる!
次の任務は俺に回せぇ…ゔわぁ!!」
ザンザスが投げ付けた資料がスクアーロの顔面を叩く。
「何しやがるっ」
鼻頭を抑えながら文句を言うスクアーロにザンザスは一言。
「ルッスーリアとレヴィも連れてけ!カス鮫!!」
それだけ言うとザンザスはスクアーロを部屋から追い出した。
追い出されたスクアーロは資料に目を通しながら談話室に続く廊下を歩いていた。
今度のターゲットはセスペデス=サウザンドのボス、ロキーニャかぁ。ランクは"W"。スペインを中心に活動していたが8年前、今のボスが就任すると同時に主力はイタリアへ移住。こいつらも北部を中心に動き回ってるみたいだが…先日から、忍びでローマ市内観光かよ…。
でも恐らく今まで同様コイツも奴さん狙ってやがる可能性が高ぇ。こうなりゃ、一刻も早くルッスーリアとレヴィを呼んで、任務に赴いた方が良さそうだな。
☆★☆★
夕方。深い森の中に忍び寄る―――影、影、影。背の高い針葉樹の枝の上。
「早いうちに暗殺るぞ」
一人の男が言うと同時に、三つの影はは浮世離れした体術で バババッ と闇に紛れた。
☆★☆★
電話の声の主は言った。四人目の犠牲者が出たと。今回殺られたのはセスペデス=サウザンドの女ボス、ロキーニャ。スペインに根を張っていたが、現在のボスに替わると同時にイタリア北部に拠点を変えたらしい。
……が、またしてもマフィアのボスが殺られた。
しかし、電話の主はその後にこう続けた。
「出血や切り口からみてプロの殺し屋に殺られた可能性が高い。が、これは俺らの手口じゃねぇ。確かに俺達に似た殺り方だが……俺らが任務で来た時、既に獲物は喰われてた」
当時の彼からは想像も出来ないような重く静かな低い声。しかしあたしには携帯端末から響く彼の声の裏に、憤怒の色が籠められているのが伺えた。
☆★☆★
「くっそ…此処も先に殺られたかぁ……」
「「「!」」」
夕焼けの彩雲がかかる深い森の中。三つの黒い影の外に人の気配が一つ。
(きっとベルとマーモンが見掛けた奴らだなぁ)
(若しくは、その仲間だな)
(単品かも知れないわよねぇ)
(とにかくだ!奴を追うぞぉ!!)
一つの気配を追って深い森の中へ入っていくスクアーロとルッスーリアとレヴィ。彼等はこの後、第五の殺人を目撃することとなる。
が、それはこの時の彼等には予想もつかなかったことだった。
「くっそ…逃げ足も速い野郎だぜぇ」
「なぬっ?」
「どうした、レヴィ!!」
「それがねぇスクちゃん。ロキーニャが居たセスペデス=サウザンドのアジト。他の3件と同じ様に火がかけられたみたいよ…」
「くっそぉ…………やはり、同一犯かぁ……」
「もう〜、どうするのよ!隊長?」
「あ゙ぁ?!んなの決まってんだろぉ!追うぞぉ!!」
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