メラク  



 


先日一人の男が焼死体となって発見された。男はネドルバファミリーのボスで名前はリオ・ボーナ。38歳で外見は確か小肥りな男だったと認識している。

ネドルバファミリーといえば確か……最近北部の方で不正薬物所持及び薬物売買によって力を付けてきた新手のファミリーだ。規模は五段階で言うならば圧倒的に"T"でまだまだ小規模なファミリーだが、此処数ヶ月で確実に伸びて来ていた。それも、リオ・ボーナがボスになってからそれらは著しく伸びていた…。



「っち」



新聞を読みながらスクアーロは本日何度目かの舌打ちを零す。



「あらあら、そんなに苛々してカルシウム不足よ!スクちゃん」

「ゔお゙ぉい!カルシウム不足じゃねぇ!これを見ろこれぇ!!!」

「も〜そんなに怒鳴り散らさないで頂戴」



そう言うも、どれどれ?とスクアーロの差し出した(既に彼の握力でくしゃくしゃになった)新聞記事を読んでいく。



「あら!ネドルバファミリーのボスじゃない。この人、殺されちゃったのね。」



まあ、あれだけ不正に薬物扱ってたら巨額の金も入ってくるし…それなりに怨みは買うわよねぇ。
ルッスーリアは小指を立てて紅茶を啜りながら呑気に語ったが。スクアーロに再び、此処をよく見ろぉ!と怒鳴られ再び新聞に目を通す。



「ん〜何々?……っ!まあ!!この新聞…表じゃないっ!!!」

「そうだぁ……この事件が、表の新聞に載ってんだぁ!裏の新聞には当たり前だが…表の新聞に此処まで載るのは…」

「可笑しいわねぇ〜」

「それとなぁ……これはザンザスと俺しか知らないが…」

「な〜んか、面白い話してんじゃん♪」



真剣な面持ちで語るスクアーロの言葉が耳に入ったのか…、何処からともなく現れたベルフェゴールが ひょこっ と頭を覗かせ、話題に入ってくる。
ちっ。とスクアーロは小さい舌打ちをしてから、諦めたそぶりで続きを話す。



「まあ…いい。お前も幹部だ……。
 ――いいか、このリオ・ボーナって奴は、殺害された当日に俺がザンザスから頼まれたターゲットだぁ」

「まあ!」

「ししっ。じゃあ、先輩が殺ったの?」



口を抑えて驚くルッスーリアと楽しそうにこっちを見てくるベルフェゴール。



「まぁ、聞けぇ!俺がザンザスから任務を貰ったのが22:00。奴が殺されたのが恐らく…22:30頃。任務の支度をしてこの城を出たのが22:10で俺が現場に着いたのが22:30前。」

「わぉ!先輩ピッタリじゃん♪」

「だがなぁ」

「「?」」

「俺がターゲットの城に入って奴を見付けた時、そいつは既に何物かによって―――殺されていたんだ―――」





    ☆★☆★





「入れ」



中からボスの低い声が聞こえたのを確認してから、僕専用の扉からボスの部屋に入る。



「マーモン、任務だ……こいつを消せ。」



ボスの手から僕の前に投げられた書類。左上にはクリップでターゲットの写真がとめられている。写真をとって、書類に目を通す。

フムフム。パルゾナ16か。



「報酬は?」

「Sだ」

「やるよ。」





    ☆★☆★





「……はい」



静に受け答えして受話器を戻したティーナは青い顔をしていた。



「どうした、ティーナ?顔色悪いぞ?」



肩に手をかけ声をかけてきたのはアンドレ。



「何でもない…」

「おいおい、何でもないは無いだろ?!こんなに顔色悪k‥」

「何でもないって言ってるでしょっ!!!ほっといて!」



錯乱した彼女は、金切り声を上げてオフィスから飛び出して行った。



嘘よ……嘘…!!
あの…パルゾナ16のボスって言ったら……


―――とりあえず、彼に連絡しなきゃ!