ドゥーベ
幼馴染みっていう程 綺麗な間柄じゃない
だけど
腐れ縁っていう程 疎遠な訳でもない
☆★☆★
焼死体が一つ発見された。それはローマ市街のNー18。民家から炎が上がっていると近くを通り掛かった住人が通報。直ちに警察と消防が駆け付ける。消防活動で火が弱まってから消防隊員が民家の中に入ると、一つの焼死体が発見された。
司法解剖の結果、その焼死体は体に火が付けられる前に 殺されていた ことが解った。死亡原因は不明だが、胃の中に消火中の食物が残っていたことより、死亡する1時間前程に食事をしていたことが解る。
更に、この死体はネドルバファミリーのボスであることから、裏からの証言が集まり、食事は21:30頃 有名なフレンチレストランでマフィア関係者数人と食事をしていたことが解る。
「そこから計算すると……殺されたのは22:30頃。
民家に火が上っていると通報を受けたのが23:42のことです」
「この死体はマフィア関係者だと?」
「えぇそうです。
ネドルバファミリーと言って、最近北部で力を付けてきたファミリーです」
「最近?」
「はい……彼等は不法な薬物所持及び薬物売買によって、巨額の金を手に入れることで…」
「悪名高いネドルバファミリー…ねぇ……」
「う……はい」
「しかし、マフィア関係者となると捜査は難しいな。一般市民を巻き込んで仕舞うのも悪いし」
「まあ、そっち関係ならそっち関係の輩の仕業でしょう。
こんな対策本部たてる必要もありませんよ」
「ちょっ……」
「ほらぁ…VARIAって言ったっけ?あそこも中々有名な暗殺集団じゃないか。こっちに情報が回ってくるくらいね。」
「ああ、そういえば聞いたことがあるなあ」
「なんでも暗殺任務百発百中完遂らしいぞ」
「ひー恐ろしい」
「っな、そんなっ!言い掛かりを…」
「どうせ奴らの仕業でしょう?裏の事は裏に任せて、僕達は表の仕事しましょうか?」
そう言って勝手に会議を畳んだのはアンドレ。
EUの政策でパスポート無しで国を行き来できるようになってから、この署に飛んできたスペイン人だ。
正直、あたしはこの人がいけ好かない。
何だろうか?遺伝子レベルでこの人を信用できない。
何考えてるか解らない独特の雰囲気を持つ男。人の思考を探る癖に自分の心は読ませない。常に場の空気を読み、自分の意見に載せるのが上手い。仕事も難無く熟すし、顔も広い。上司部下男女訪わず、老若男女誰からも好かれるような男。
だけどもあたしはこの男が、嫌いだ。
嫌いというか……苦手というか……
やはり、いけ好かない。
それだったら、よっぽど彼の方が信頼できる。
昔から馴染みっていうのも手伝っているのかもしれないが、こんな奴より裏で生きているアイツの方が安心して信用できるんだ!
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