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バスに揺られながら、約束通りショッピングモールに向かう
本当は家でのんびりしたいんだけど
「おー!!」
「小平太・・・静かに。」
「見てみろ仙蔵・・・馬より遥かに速度があるぞ。」
「ああ・・・馬は、いないな。」
「・・・留さん、吐きそう、」
「は!?が、我慢しろ!」
伊作くんのは聞き逃すわけにはいかないぞ?
吐くって、え、エチケット袋なんて持ってませんけど?
「あと少しだから我慢できる?無理そう?」
「らいじょーぶ・・・うっ、」
全然大丈夫じゃない!どうしよう、飴なめたらよくならないかな?
「飴舐める?すだち味だけど。」
「大丈夫、です、」
バッグから取り出した飴を差し出しても、伊作くんは口を押さえたまま首を振る
すだちが嫌いなのか、遠慮してるのか
とりあえず、終点アナウンスが鳴ったので、本当にあと少しだ
モールについたバスから出るときには、伊作くんはすっかり屍状態で
おんぶするしかないかと少し憂鬱
「おんぶするからのって。」
ほら。としゃがんで背中をむければ、伊作くんはごめんなさいと大丈夫しか言わなくなった
周りの大人たちからの視線が痛いのは諦めよう
「***さん、俺が伊作を見てるんで買い物行って下さい。」
「幼児二人を置き去りにはできないよ。」
ほら乗って。ともう一度言えば、怖ず怖ずと伊作くんはのってくれた
改めて行こうと子供らに言えば、長次くんがすかさず小平太くんの手を握った
うん。学習してくれて嬉しいよ
「買うのは布団と、子供用の踏み台。暇つぶしの玩具に・・・帰りに食品。」
「そんなに沢山買うのか。」
持って帰れるのか?と腕を組む文次郎くんに送るから平気だよ。と言えば
仙蔵くんがあまり気をつかうな。と睨むようにみてくる
「なにが?」
「私たちは普通とは違う。」
特に仙蔵くんはね。大人に見えるよ
でも、見た目は子供だ
「仙蔵くんが何を思ってるのか知らないけど、私は子供を子供として扱うだけ。嫌なら早く大人になりな。」
「・・・言われずとも、すぐに大人になる。」
そして貴様は私たちを捨てるのだ。と、鋭い目で射抜かれた
なぜか、安易にそんなことしない。大丈夫だと返せなかった
この子たちは、一体なに?
それを飲み込んで、はいはい。と目的の店へと足を向けた