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「よし。今日は雷蔵の家に泊まるぞ!」
「えぇっ!!?」
「え、まじ?俺雷蔵ん家泊まんの初だ。」
「湯豆腐パーティーをやろう。」
「兵助、今7月だから。」
「そうと決まれば酒と菓子買って」
「お酒はダメだよ!!って、違」
「ならジュースとケーキ!」
「勘ちゃんは本当に甘いものが好きなのだ。」

きいてー!と言う不破に諦めろ。と竹谷が言えば
結局午後の講義が終わればサークルをぶっちして不破宅へ集まった

大量の菓子やドリンクを買い込んだ5人は、初めて入った不破宅に揃って首を傾げる

「実家、じゃないんだよな?」
「うん、」
「***と二人暮らしか。」
「うん。」

僕の部屋はこっち。と指差したとは別の部屋のドアノブをまわした鉢屋は、鍵のかかった部屋に眉を寄せる

「鍵はリビングのテーブルに置いとけばいいから、あけなくていいんだ。」
「なんか、冷蔵庫が半分に区切られてるぞ?」
「あ、えっと、右側を使って。左は***だから。」
「・・・おう。」
「なんか、雷蔵大変そうだな。」
「仲悪いのか?」
「違うんだ兵助。僕は物心ついたときには既に前世の記憶があったって言ったけど、それのせいで***には迷惑も心配もかけたし・・・仲悪いっていうか、僕が勝手にビクビクしてるんだ。」

あはは、と渇いた笑いを浮かべた不破は、泣きそうな顔でトイレ。と言ってリビングから出て行った

「雷蔵と***は、あれで昔は仲がいい兄弟だったんだ。私と出会った時は・・・まだ。小学校上がったあたりから、次第にギクシャクしだした。」
「雷蔵とは幼稚園以来の幼なじみなんだっけ?」
「俺と八左みたいなのだ。」
「だな!」

雷蔵が戻ってきてからは、普段通りに騒がしく、夕食にはピザを頼み素面でハイテンションになれば
気づいたときには0時をまわり、慌てて風呂にはいり、そしてまた騒ぎ出す。今度は近所迷惑にならないよう抑えながら

しかし騒いでいたのは事実。玄関があいたのに気づかなかった5人は、リビングに入ってきた***とタカ丸に驚き
更にタカ丸に対しては、タカ丸も揃って驚き目を見開いた

「タカ丸さん!?」
「兵助くん!」

特に熱い抱擁を交わす二人を見ることもなく、他の四人に目を向けるでもなく
***は作り置きの麦茶を注いで鍵をあける

「***の弟って、雷蔵くんだったんだね。」
「知り合いか?」
「うん。」
「また、前世とかいうやつか。」

入んないの?と扉を開けながらタカ丸をみた***に、タカ丸はあれ?と首を傾げた

「機嫌悪い?」
「別に。」
「嘘だぁ〜!」
「いいから入れよ。」
「短気は損気だよ?」
「うっせ。」

部屋に入っていく仲の良さそうな二人を見送れば、竹谷が深いため息をついた

「一度もこっちみなかったな。」
「はは・・・いつものことだから。本当は、仲良くなりたいんだけど、」
「よし!雷蔵と***を仲良くしてみせる!!」

ぐいっとコーラを呷った鉢屋が堂々と宣言をし
それに同意した三人に、不破はぱちぱちと瞬いた