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「天から落ちてきた女の人だから天女・・・ね。」

起きている異変や、何をしていたらこっちに来てしまったのかとか
なぜか懇切丁寧に説明してくれた土井半助さんは、忍者じゃないんだろうか?

「それはまぁいいや。私にはあまり関係ないし・・・でも、なんで見ず知らずの私に話すんですか?」
「・・・外を、見て回りました。馴染みのない、知らない世界が広がっていました。」

ここを出されたら、野垂れ死ぬ。と悲しげに言う土井半助さんは、何を見たんだろ
今更、今更なんだけど、本当に過去・・・二次元から来たのだろうか・・・

「お願いします。帰れるまで、おいて下さい。出来る限りのことはします。」
「まぁ、うん。きり丸くんにいていいって言ったからね。いいですよ。」
「なぁなぁ、名前はなんていうんだ?」
「*****。・・・ごめん、近い。」

くんくんと臭ってくる七松小平太くんから離れようとすれば、手と腰をがっしり捕まれた

「あのっ、ちょ、」
「なんの匂いだ?」
「知らなっ、近いってば!きり丸くんこの子なんなの!?」
「七松先輩は野性的なので・・・」
「七松、やめな・・・さ、」
「ひゃぁああっ!?脱がすな!!」

土井半助さんの制止の途中で、ジャケットを脱がされた
しかもとられた。返せ

「これじゃない。」

しかも捨てた!
床に捨てられたジャケットを拾ったきり丸くんが七松小平太くんの服を引っ張って止めようとしてくれるけど、止まらない
服を剥がしだした光景に、土井半助さんと久々知兵助くんは固まってる

「まっ、まってよ!どんな臭い!?」
「花・・・だと思う。でも知らない匂いだ。」
「は、な?花、花・・・くっ、近いっ、あ!薔薇だよ薔薇!」
「バラ?バラとはなんだ?」
「使ってる石鹸が薔薇っていう花の香りで、ずっと使ってるから、移ったん、だ、とっ、離れなさい!!」

石鹸?と髪や首を嗅ぐ姿はまるで犬
しかし力が強い。なんだこの子

「いい加減にしてください七松先輩!!追い出されちゃいます!」
「む。それは困る。」

凄く残念そうに離れた七松小平太くんは、要注意
そし手、気付く。床が泥だらけ

「なんで土足なんですか!?靴下か裸足になって!!」

いやー!と叫んできり丸くんの、なにこれ足袋?を脱がせた
ドタッと転んだきり丸くんを気にせず七松小平太くんのも脱がせにかかれば、自分でできる!と逃げられる

「っていうか汚い!特に久々知兵助くん!!って、まさか・・・うわ!やっぱり!」

寝かせていたベッドは、見事に茶色・・・赤い、なんで?

「赤い。何これ?」

ぐずぐずした乾いたなにかとか、なんだろうとシーツとかを引っ剥がせば、バタンと何かが倒れる音がして
慌てて音の方へ行けば、土井半助さんが久々知兵助くんを呼びながら服を脱がしてた

「どうしたんですか!?」
「怪我を、我慢していたようでっ、すいません、包帯はありませんか?」
「包帯、はありますが・・・」

見えてきた傷にはとても足りない
顔色も悪いし、意識もない。あの赤色はきっと・・・血、

「血、が・・・沢山?きゅ、救急車!」
「キュウキュウシャとは!?」
「後で説明します!」

即刻119にかける。事件性があると通報されるらしいけど、家で処置できるレベルじゃない
数分でつくらしいとのことで、言い訳を考えながら出来る限り男でも着れる服を引っ張り出す

「今から言うことを必ず守って下さい。」

物珍しくても口にしない
勝手にいなくならない

「設定は車の中で。」

文句は言わせない。