2 
「ふむふむ。話は理解した。でも本当に、あ、名前は?」
「きり丸です!」

粗方話し終わったきり丸くんは、なにやらチラチラと窓をみる
しかし、カーテンは無地だし色も普通
特に観察されるようなものではない

「きり丸くんが本当に室町時代の忍者のたまごなのか、私にはわからないの。私室町時代の人間じゃないから。」
「確かに証明はできませんが、信じて下さい!」

そう言われても、今のご時世昔の生活を調べて実践すればいくらでもいえる
困った。と頭をかけば、気絶していた少年が起きた

「少年、大丈夫?」
「・・・は、い。」

少しぼんやりとしている少年を起こし水を飲ませる
きり丸くんも隣にきて心配していて、少年はきり丸くんに大丈夫。と言ったあと、こっちを見て固まった

「て、んにょ・・・様、」
「違うから。」

即座に切り捨て、起きたならお帰りいただこうとすれば、きり丸くんがあ!と声をあげる
なに?ときけば、忍たま乱太郎は知ってますか!?と興奮気味にきかれ、聞き覚えがあるようなないようなと首を傾げれば
インターネットとかいうので調べて下さい!と鼻息荒く言われた

スマホを取り出し調べれば、某テレビ局の公式ホームページを開く

「あ、きり丸くんがいる。」
「それオレです!」

確かに、そっくりなコスプレをしてる
ページを次々にあければ、少年もいた

「少年は久々知兵助くんだね。凄く似てる。」

二次元と三次元の違いはあるけれど、本当にそっくりだと感心すれば
だから本物ですって!と怒られた

「・・・わかった。わかったよ。よし。生徒と先生の氏名や学年、組、委員会とざっくりとした性格を言って下さい。」

全部正解したら信じます。と言えば、張り切ったきり丸くんがスラスラと、ドクタケとかなんとかとかの人の情報までくれた
途中からウ○キと見比べてまで答えをあわせ、結果、信じることになった

負けた・・・

「いいよ。帰るまでいなさい。」
「やったー!」

ガッシャン!

「・・・え?」

きり丸くんの声と重なった音は、ガラスかなにかの割れる音
まさか本物の泥棒か!?とスティック掃除機をつかむ

「それ武器っすか?」
「・・・室町時代でいうなら、箒。」
「・・・何する気ですか?」
「正当防衛。」

ここにいなさい。と久々知兵助くんときり丸くんを部屋に残し、ドアをあけて様子を窺う
予想通り窓が一枚割られていて、成人男性が一人と高校生(多分)が一人窓から入ってきていた
なぜか成人男性より高校生のほうが怖い
こう、野性的というか・・・

「ごめんなさい!!」
「おわ!!」

勢いをつけてスティック掃除機をふれば、微かに高校生の腕を掠めた
瞬間ギラリと光った眼にみられ、あっという間に腕を捻りあげられてしまう

「いっ・・・たい!!」
「お前なんだ?なぜ攻撃した?」
「人の家に不法侵入しといてなんだもなぜもない!出て行け!!」
「気の強い女だな、」

一人だったら隠れるが、残念ながら小学生か二人いるからね!と言いたいが、腕が痛すぎて呻くしかない

「七松先輩!!やめて下さい!」
「む、きり丸!この女になにもされてないか!!」

バタバタと高校生を止めようとしてくれるきり丸くんに、成人男性のほうが動く
久々知兵助くんはドアに半身を隠してキョロキョロしてる

「きり丸、彼女は天女か?」
「違います!」
「しかし武器を持っていたぞ?」
「七松先輩!あれは箒です!早くはなして下さいっ!!」

ギリッと一瞬強くなった締め付けは、すぐに解かれた
半泣きで腕をさすりながらじりじりと離れ、改めて不審者二人に目をやる

「きり丸くん・・・まさか彼らも、とか?」
「はい!!こっちが担任の土井半助先生で、こっちが体育委員会委員長を務める六年ろ組七松小平太先輩です!」

スマホで絵を確認すれば、確かにそうらしい
久々知兵助くんときり丸くんが二人に何やら話せば、突然土井半助さんが土下座をし始め
七松小平太くんも同じように土下座するもんだから、何がおきたのかと苦笑いの久々知兵助くんときり丸くんに助けを求めてしまった

「先ほどは、大変失礼致しました!!」