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美人なイケメンこと立花君
ふわふわ笑顔の癒し系イケメンこと善法寺君
正統派イケメンこと食満君
滲み出る父性溢れる雰囲気の長身イケメンこと中在家君
スポーツマンタイプな元気溌剌イケメンこと七松君
そして、隈と眉間の皺は生まれつきでは?というほど似合・・・しっくりくる、厳つい(?)イケメンこと潮江君

ハッキリいって、皆怖い。救心のみたいくらい動悸が半端ない。

「・・・飲まねぇのか?」
「ビ、ビールが炭酸飲料だって知らなくて・・・」

一口しか飲んでない、泡の消えたビールグラスを両手で持つ私は
開始一時間が経過しても、まだ一杯目

皆既に五・六杯のお酒を飲んでいて、スッゴい盛り上がってる
帰りたい。と思い始めていた私に、潮江君の声。

世間知らずだと笑われる。と変な汗が滲む。

「酒は初めてか?」
「う、うん。初めて・・・です。」
「そうか。」

再び訪れた沈黙に、胃がキリキリと痛む・・・吐きそう。
周りの音もよく聞こえなくなってきた・・・グルグルまわる。

「ごめん、ちょっと外」
「果物は好きか?」
「え・・・?」

シガーケースを片手に席を立てば、潮江君の声に中腰のまま固まる。
言ってることがよくわからず、取りあえず質問に頷けば
飲んでみろ。と差し出されたグラスを手にとって、座る。

「あの、」
「なんだ。」
「まだビールを飲みきってない・・・から、新しいのは」

言い掛けてるときに、潮江君が私のビールグラスをつかんで呷った。
一気飲みされたグラスをテーブルに置いて、潮江君が私をみる。

イケメンの眼力で穴あきそう。

「あ、りがとう・・・」

グラスの端に口を付け、少しだけのむ。

ビールとはまったく違う味に、思わず笑みが零れた。

「美味しい・・・」
「ファジー・ネーブルだ。」
「ファジー・ネーブル・・・」
「気に入ったか?」
「うん!柑橘系ってスッゴく好きなんだ。ありがとう、潮江君。」
「・・・そうやって笑うといいな。」

可愛いじゃねぇか。と何でもないことのようにお酒をのみながら言う潮江君爆発しろ!
じゃないと私が爆発する!

「・・・・・・みみみみみみっちゃぁぁん!!し、潮江く、んが!」

ぎゃぁす!と泣きついた私を、みっちゃんがよしよしと慰めてくれる。優しいよみっちゃん。

「ちょっと文次郎。私たちの可愛い***を口説かないでよ。」
「あ?口説いてねぇよ。」
「キモンジ炸裂だな。」
「すっかり怯えてんじゃねぇか文次郎。」
「うるせぇよ留三郎!仙蔵、かわれ。」
「ふっ。仕方ないな。」

うひょわ!?びび美人なイケメンが!目の前に!!

「紀伊ちゃん!」
「頑張って!」
「どうやって!?最上級のイケメンに心臓とまっちゃうよ!」
「くくっ、」

わ、笑われた!美人なイケメンに笑われた!!

「花ちゃん。今日私の命日みたい。」
「ちょ、戻ってきて***。」
「私みたいな男は嫌いか?」
「違うんです!!イ、ケメンに慣れてなくって!ご、ごごごごごめんなさい!!」

みっちゃんの後ろに隠れた私は、潮江君にもらった飲み物を持ちながら必死に謝罪をした
まったくもう。と笑いながら頭を撫でてくれる花ちゃんに感謝しつつ、ちらりと立花君を見れば、ぱちりと目があう

「っ〜〜!そ、外に行く!」
「あ!ちょっと***!」

ガタガタと椅子に当たりながら逃げ出し居酒屋から出る
設置されている灰皿のそばに立って、シガーケースから巻きハーブを取り出す

(確か、リラックスはこれ。)
「大丈夫?」
(怖いよー帰りたい!)
「・・・聞こえてる?」
(・・・はーっ、)

ハーブの香りに癒されながら顔を上げれば、そこにはなぜか青年が一人

「きゃぁーっ!!」
「えっ、ちょ!」

心臓弾け飛ぶ!!吃驚した!吃驚した!!

吐きそうなほどの声量で叫べば、泣きながら居酒屋に駆け込んだ
居酒屋の奥まで届いたのか、紀伊ちゃんたちが席から立ち上がってる

「きーちゃーーん!!お化けでた!」
「え、お化け?」
「な、なんか、善法寺君に似てるお化けでた!ドッペルゲンガーかも!!善法寺君生きてる!?あれっ!!?」

善法寺君がいたはずの席に善法寺君がいない!!トイレ!?

「・・・それは多分伊作本人だぞ。」
「えっ、」
「その通りです。」
「きゃぁっ!」

後ろから声をかけられて、私は素早く紀伊ちゃんの後ろに隠れる
そっと覗けば、確かに善法寺君がいた

・・・私、凄く失礼だったんじゃ・・・・・・?

「ごっ、ごめんなさい!ぜ、善法寺君が喫煙者だったなんて、」
「いや、タバコは吸わないよ。」

まぁ座りなよ。と促され、私は謝りながら立花君の前に座る

「じゃぁなんで外に?」
「***ちゃんの具合が悪そうだったから、大丈夫かなって。」

うわー・・・そんな善法寺君に私叫ぶとか
恥ずかしい!!

「みっちゃん。私絶対夢に見る。」
「もう、***ったら。」