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「あっ・・・ついー・・・・・・アメストリス遠いよ!」

サクサクとサラッサラの砂の上を歩きながら、独り言をぼやく
こうでもしないとやる気なくす

ぼんやりと先に見える遺跡のようなものは蜃気楼か本物か

「砂漠で迷うとか死亡確定でしょー・・・いや!雪山遭難で生き残れたんだから、いけるはず!」

遺跡が近くなり、それがなんだか見たこともないような建物で
何やら真新しさ(遺跡にしては)を感じるその門に触れれば
コッと気の音がして、低めのドアが開いた

「はーい!」

ギョッとした私の前に現れたのは、先日まで滞在していたシン国の人によく似た顔立ちの少年
何も言わない私に首を傾げた少年がお客様ですか?と何やら紙を差し出してくる

それを受け取れば、知らない文字が

「・・・えっと、」

そういえば暑くない?と辺りを見回して、愕然とした

(ここどこ?砂漠はいずこ?超自然タップリ。)
「あの〜・・・お客様じゃないんですか?」
「っ、外国から来まして、珍しい物を売り歩いております。お眼鏡にかないましたら是非購入していただきたくおもい、参上いたしました。」
「外国ってなんですか?」
「外の国と書いて外国です。」
「国・・・?ああ!南蛮から来た方ですね?」
「はい。」

外国を南蛮と言うのならあわせよう
どうやら全く見知らぬ土地に来てしまったらしいし

「じゃあこれにサイン下さい。」
「まだ文字が書けないのですが、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよー!」

万年筆を取り出しサラサラとサインをすれば、一つ質問をした

「ここはなんの施設ですか?」
「ここは忍者の学校、忍術学園でーす。」
「忍者、ですか。」

忍者とはなんだろう?まぁいい
取りあえず、ここは学校とだけは理解した

「一番偉い人のところへ案内していただけますか?」
「あ、えっと・・・あ!乱太郎くんたち!」

門の中へ入れば、少年が少年三人を呼ぶ
小松田さん。どうしました?とかけてくる三人により、少年の名前が小松田だとわかった

「この人を学園長のとこへ連れて行ってあげてくれない?」
「いいですよ。」
「ありがとう!」

じゃあね。とどこかへ行ってしまった小松田からこちらへ向き直った少年三人がこっちでーす!と声を揃える

「お兄さん南蛮から来たんですか?」
「どうしてそう思うのかな?」

お兄さんではない。とは言わない
取りあえず、現地情報を得るのが先だ

「見慣れない格好してますから。」
「お兄さんいい匂いがしますね!」
「行き当たりばったりな生活だから、常に食べ物を持ち歩いてるんだ。」
「行き当たりばったりって、銭はどうしてるんすか?」
「南蛮から持ってきた物を売ったりしてるよ。」

話の中で情報を得ていき、そして至る
ここは異世界である。と

(・・・機械鎧、バレたら面倒かな?)
「ここでーす!」
「お駄賃くださーい!」
「学園長せんせー!お客様でーす!」

・・・なんか途中変なの挟んだよ?
きりちゃん!とは咎められてるけど、そのきりちゃんは私を見続ける

「・・・銀って、価値ある?」

銀のビー玉サイズの球を二つ程きりちゃんに差し出せば、オドオドとしたきりちゃんにいいんすか?ときかれた

「うん。」

銀のナイフを錬成しようとして失敗した残骸だし

「お客とな?はて、誰じゃ?」

蹴破るのが簡単そうなドア?なのかあれ?
まぁドアから出てきた老人に、頭を下げる

「私南蛮からきました***といいます!南蛮より持ち寄った珍しい物買いませんか?」

ニコッと笑うのも忘れずに、顔を上げればそこにはきらきらとした老人の顔

「例えばどんなものがあるのかの?」

ささ上がりなさい。と部屋に通され、私は姿勢を正して老人を見据えた
途端に老人もこちらを真剣な眼差しで見返す

「実をいいますと、自国に向かう途中遭難し、帰り方・・・いえ。帰るべき国がいずこにあるかわからないのです。」
「ほう。」
「よろしければ、帰り方がわかるまでこの学校で雇ってはいただけないでしょうか?」
「・・・お主はこの学校がなんの学校だかしっておるのか?」
「小松田さんが忍者の学校だと・・・違うのでしょうか?」

小松田くん・・・と頭を抱えたあたり、教えてはいけないことだったらしい

「忍者がなにかは?」
「知りません。」
「・・・得意なことをあげてみよ。」
「体術、剣術、砲術、乗馬、医術。一番は戦技です。」
「強いのか?」
「強いです。」

暫くの見つめ合いの後、雇おう。と学園長が頷いた