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「シナ先生、私にご用とは・・・?」
「少し、面倒なことになってしまいまして。」

面倒?首を傾げシナの視線の先を見た***は、木に吊されている不審者に咄嗟に手裏剣をうつ。あーちょっと待って。そんな声が耳元で鳴ったのも同時で、***は思いっきり目測から誤り手裏剣は不審者を吊す縄を掠めた

「っ、」

息をするのも忘れ地面へ飛び下りた***は、あらまぁとでもいうようなシナが廊下に一人なのを確認しじわりと変な汗が背を伝うのを感じる

「遅かったかな。」

反射のみで振り向き際に寸鉄を首筋へ叩き刺そうとした手がつかまれ、***は呆気なく腕をかためられ締め上げられた
顔にまで鳥肌をみせる***に君どこかでと呟いた声は、失礼しましたとシナから向けられる笑みにすんなりと離れる

「シナっ、先生・・・!」
「雑渡さん、条件を覚えていらっしゃらないのでしたらこの子は下がらせますわ。」

顔色悪くシナの後ろに隠れる***ははっと気づいてシナに尋ねた、タソガレドキ忍者隊がなぜここにと。シナは後でねと苦笑して、うわっ!?と声を上げた不審者をみた

「あの縄、覚えていますか?」
「・・・確か、毒を編み込んだ縄、」

私が趣味で作った罠の、と躊躇いがちに呟いた***は、サァッと白くなっていく不審者の顔色にあ、あ!と口を開ける
雑渡が一歩不審者が吊されている塀へ近づけば、ボコリと地面に穴が開きやれやれと首が振られた

「解毒剤は持っていますね?」
「・・・はい。新野先生にすら解毒される隙もないほど即効性があって、強い、そういうのを作りましたから。」

手裏剣が掠った縄から流れ出す液体が忍装束を湿らし、肌へ浸透する。激しく噎せて血を吐いた不審者は縄に触れたのだろう、手は黒ずみ発疹が出ていた

「解毒薬、もらえない?」
「侵入者ならば道理かと。助ける義理もない。」
「そうなんだけどねぇ・・・タソガレドキ忍者隊忍び組頭への貸しだと思えば、無益ではないでしょ?」
「・・・雑渡、昆奈門・・・ね、あなた。」

正解と笑った雑渡にぞくりと悪寒を覚えた***は丸薬を取り出し、不審者へ顔を向ける
雑渡はじゃあ助けようかなと、罠をかいくぐり素早く縄を切って不審者を受け止めた
ぐったりと青白い不審者に尊奈門と呼び掛ける雑渡は、足首に絡む縄を切って不審者を抱える
地面に改めて降りた***が二人から三歩の距離で止まり、躊躇わず丸薬を投げた

「ありが、・・・二つ?」
「付いているから、あなたにも。」

抱えた際についた毒薬の染みに包帯をみた雑渡は、これやばい?と包帯を解きながら諸泉の喉に丸薬を押し込む
ごくんと飲み込んだのを確認し自分も丸薬を飲んだ雑渡は思わず吐きかけ信じられないものを見る目で***をみた

「チャミダレアミタケのくノ一は、随分いやな薬を煎じるんだね。」
「良薬で人を昏睡させる、が今のやりたいことで・・・何で、」
「とある屋敷で見たことがある。君はどこで私を?」
「・・・とりあえず、今のは貸しですから。」

新しい包帯を手渡しシナの方へ走っていく***を見つめ、雑渡はくノ一も悪くないと口あての中で笑う。それをシナが鋭く睨み、***は鳥肌をさすりながら失礼しますとその場から逃げた