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「おか、ちゃ・・・っ、なん、」
「逃げるんじゃないよ。あんたは私が産んだんだ・・・しっかり稼いで私を楽させとくれ。」
「い、いやっ、私っ、今学校の先生しててっ!おか、おかね、ちゃんとあるからっ、」

泣く***は爪の立てられた腕を引くようにつかみ、動かない足にされた枷に息をのむ。泣き喚いて逃げ出そうとしていた***は、一度頬を打たれすっかり恐怖に染まっていたのだ

「もう客は呼んであるからね、しっかりやるんだよ。尺八の仕方はまだ覚えてるね?」
「ぅうっ、やだ、やだ、やりたくな」
「また母ちゃんを捨てるのかい?」
「うぅぅぅっ、」
「たく、しょうがない子だねぇ・・・」

ほらと四つん這いにさせられ、女の指が着物の間を縫い内股を這う。引きつった悲鳴をあげた***は爪が割れるほどに強く壁を引っかき、ガタガタと震えながら唇を噛んだ

「身体ばっかり熟して、中身は幼いままだねぇ・・・。」

部屋に男が降り立つ。***は男の気配に一層怯え、ぼろぼろと泣く

「ぅあ・・・ン、う・・・っあ、あッ・・・あああっ・・・!」
「こんな身体でよく私から逃げたねぇ?まったく。」

どさりと頃がされ仰向けにされた***は、肩をおさえる女を見上げた。女は目を細め、ため息をつく
びしゃりと、顔にかかった血に思わず目を瞑った***へ、女の身体がのし掛かった。ぐしぐしと目を擦った***は、見えた懐刀に恐怖ではなく身の危険で青ざめる

「お、母ちゃん、お母、ちゃ、」

泣きながら血の気のなくなる女を揺する***は、伝わる体温の低下にどうしてと男を見上げた。困惑したままの***の目が、男の顔に開かれ表情が固まる

「近づいても平気ですか?」
「・・・なんで、あなたが、」
「シナ先生も山田先生も探しています。帰りましょう。」
「み、見た・・・?わ、わたしっ、の、わたしの、醜態、を、」

腕をつかまれ引き上げられる。床に落ちた女に手を伸ばした***は、ドスと女脳天を貫き床に刺さった懐刀に手を握った

「帰りますか?帰りませんか?」
「っ、」
「帰らないというなら、このまま慰めてあげましょうか?辛いでしょう?このままじゃ。」
「ッ、いや・・・!!」
「なら、鎮めて帰りましょう。」

しゃくりをあげながら首を振った***が落ち着くまで、土井はひたすらその背を撫で続けた

泣き腫らした目を伏せさせながら土井について歩く***は、向こうから走ってくるくノ一にまた涙をこぼし、言葉も発せず抱きつく

「私は先に」
「ありがとうございます、土井先生。***を救ってくださって。」
「・・・私はただ、感情に任せて#name1先生の母親を殺しただけですから。」
「だから、ありがとう。」

あなたがやらないなら私がやっていたと、微笑むくノ一は面倒をかけたことに頭を下げる
土井は首を振り、逃げるようにその場から立ち去った