「いったい・・・なんなのよ、」
仕事から帰って、ジョギングにでて、疲れたーと入浴剤いりのお風呂に入り
Tシャツにショートパンツでベッドにダイブで寝落ち
夏だからいいものを、髪濡れてるから風邪ひくよ私馬鹿だな。とか思ってたのは覚えてる
「足痛い・・・」
眠すぎてふらふらするような浮遊感がして、暫くして急に寒くなった
冷房は28℃設定だからここまで寒くないはずなのに・・・とダルい体を起こせば
目を開けた先には木
木、茂み、虫、なんかの動物の声、夏なのに春のような涼しさ
混乱したまま歩いて、枝や小石で足の裏は痛いし
道を拓くために木々を掻き分ける手は傷だらけ
運動は好きだけど、ここまでアウトドアな感じじゃない!
「誰かいないの・・・?」
いるわけないよね、周りまっくらで夜みたいだし
「意味わかんないっ・・・ったい!」
ズサッと石に躓き転び
膝や脛を盛大に擦りむいた
「最悪・・・痛いってことは夢じゃないのよね、」
立つ気力もなくて、木に体を預けて膝を抱える
ここで死ぬのかな、まだ社会人一年目なんだけど
寒いし、夕飯食べてないからお腹すいたし、折角お風呂入ったのに汚れるし
・・・誰にも、死体さえも見つけてもらえないとか、ありえそう。
「嫌だっ・・・なんで、私っ、」
私が何をしたっていうの!
叫ぶように泣き始めてしまい、涙はとまらず服を濡らす
どうせ死ぬのなら、別に泣いたっていいじゃないか!
そう思ったら「死」という言葉が妙に現実になり、体が震えだした
「だれかっ!助けてっ、」
「・・・お前、ここで何してるんだ。」
突然聞こえた声に顔をあげれば
暗くてよく見えないが、人が確かに目の前に立っていて
今度は人がいたという安心から、涙が溢れた
「人がいたっ!」
絞り出すように叫んだ声に、その人の眉間に皺が寄った