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「・・・いただいて良いのですか?」
「ええ。今日からあなたは忍術学園の先生なのですから。」

制服を手に私がと呟いた***は、不安を胸に押し込め頭を下げる

「若輩者ですが、精一杯務めさせていただきます。ご指導、ご鞭撻、どうぞよろしくお願いいたします。」
「あらそんな畏まらなくてもいいのよ?いくら若く見えようがそう見せなければ良いのですから。」

意味が分からないという風に首を傾げる***に、シナはくるりと一転。老婆の姿へと見た目も中身も変えてみせた

「ど、どうやって、」
「女性は秘密を持つほどに美しくなり、深みを増すのです。私が教えられることは男性との接し方ではなく自分の磨き方だけですよ。」
「・・・私、は、」

ぎゅっと唇を噛み締めた***は目を伏せ首を振り、深く息を吸い込んだ。吐く息と共に緊張が溶けだしていく
シナは優しい笑みを浮かべ、ゆっくりで構いませんよと***の背を撫でた

「ご迷惑はかけないよう、いたします。申し訳ありません。」
「・・・そうですね、頑張りましょうね。」

頑なな様子の***に、シナは哀を浮かべる。若さ故の一本気を、止めることなどできないとでもいうように

「春休みがあけるまで時間はありますが、上級生にもなると学園に残る生徒はおります。今から各学年の時間割をお教えしますのでよろしいですか?」
「はい。」

忍たま一年から六年までの各いろは組とくノたま在学学年の時間割。***が男に出会さないためには覚えることが必須であり、そこで徐々に慣らすか完全に避けるかいきなり飛び込むかは***任せである

「教育実習という形で夏休みまで。そのまま夏休みあけから本採用という形をとります。」
「はい。」
「生徒たちと仲良くなることは是非していただきますが、友だちのようにならないよう気をつけてくださいね。」
「は、はい。気をつけます。」

なる気などないのだろう、少しだけ不思議そうにする***へ、シナは年頃が近いでしょうと姿を戻し微笑んだ
軽く目を見開いた***は頼りなげに頷き、頑張りますと頷く

「それと、何をどう偽っていただいても構いません。」
「・・・はい、」
「チャミダレアミタケ城のくノ一として、色々制約もあるかと思いますので。」

ありがとうございますと頭を下げた***は少し考え、大人に見えますかと変姿の術をつかってみせる。それは二十代半ばかそこらの女の姿であり、シナは大丈夫じゃないかしらとぱちりと手を叩いた