「***!」
「へ?え、うわ!」
中学校の卒業式。両親とわかれて楽しくも何ともないそれからの帰宅途中、ファミレスの横を通りながらふと見た店内。そこに、***はいた
何百年前に忍務で瀕死の重傷を負い、生還して俺を拒絶して俺の前から消えた***が
「会いたかった・・・!」
「お、おう?」
戸惑いながらも抱きつく俺を剥がそうとしない***。どうやら前世の記憶はないみたいだけど、関係ない
「今は女になってしまったんだけど、これで***と結婚できるのだ! 」
「えぇ!?結婚?」
「わかってる、覚えてないんだろ?」
なんの問題もない、これからゆっくり俺を知ってもらえばいいのだ
「私は久々知兵子。春から高校生になるの。」
「へーこちゃんね。うん、えっと・・・初対面だよな?」
「うん。これから、互いを知っていこうね?」
「いや、」
「やぁだ***くん逆ナン?」
***の名を馴れ馴れしく呼ぶ女がくすくすと俺をみながら***を俺から引き離す。思わず***の手を掴んだ俺は困ったように眉を下げる姿をみあげ、そして強い力で引き剥がされて固まった
「遅かったな。」
「ふふっ、ごめんね?」
「ショップの人待たせちゃうだろ。」
「遅れる連絡しておいたから大丈夫!」
「ったく、さ、行くぞ。」
いーの?その子。とバカにするかのように笑いながら***の腕に絡みつく阿婆擦れに、***は俺を一瞥もせずに別の話題に変え去っていく
「頭おかしい感じだからさ、あんま刺激すんなよああいうの。」
「ごっめーん!天愛羅反省。」
「反省してないだろ。」
散々割られたグラスが砕かれるように修復の追いつかない俺は、近くのテーブルにあったケースからナイフを手にとり走る
気づいた女が***くんっ!と叫ぶのにいよいよ正体不明になり、俺は***の背にナイフごとぶつかっていった
『へーすけって本当、変な奴。』
『傷ついたので豆腐を請求するのだ。』
『そこが好きなんだけどな。』
『・・・変な奴。』
『お揃いお揃い。』
「***くんっ!***くん大丈夫!?」
「え、なん・・・え、」
ポタポタとナイフから滴る血は俺の手を濡らす。
腰を押さえて呆然とする***に更にペンを振りかぶれば、俺はただ笑った
「また俺のものにならないなら、殺すしかないのだ。」
振り返った***は目を見開いて俺をみて、振りかぶったナイフに目だけを動かし何かを言おうと口を動かす
それを待たずに、俺はナイフを突き立てた