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「もう、なんで僕に聞くわけ?***とならお前のほうが親しいじゃないか。」
「前の***とならな。」

少しの間の後に深く息を吐き出した誰かの言葉に、息を潜めていた誰かは動揺し、その場に持っていた貸し出しカードたちをばらまいて音を気にせず走り出す
はっと気づいた部屋の二人が戸をあけ、散らばったカードと逃げる背に一人は逃げた人物の名を呟き、一人はしまったと眉を顰めた





夢を見ました。
平凡で在り来たりな、幸福です。


友人と勉学に勤しみ
時間外活動に精を出し
恋人と遊び
友人と遊び
美味しいと言われる店に食べに行き
先生に叱られ
親に恋人の一人や二人とせっつかれ


夢を見てしまいました。
一瞬で崩れて取り戻せない、幸福です。





「な、なん、いいいいやだくるなっ!」
「なんでなのだ・・・?愛し合ってたのに、なんで、」
「し、らない!男と男なんて気持ち悪いし意味わかんないから!」

助けて伊作先輩と叫ぶ***に、兵助の目が険しくなる。***にとって最早あの女は兵助自身なのだ

自分の部屋でぼんやりと忍たまの友を眺めていた***は、部屋への突然の来訪者から手足を拘束されるという扱いを受け
これで逃げられないから、ちゃんと話をしよう。そうギリギリでも保っていた兵助から言われた言葉に、***は恐怖で前後不覚になりながら知らない!と叫んでしまう
知らない?と口にしてから、なら雷蔵が言ったのは本当かと呟く声は***に届かず消えた

『記憶、喪失・・・?健忘症?なら、***は俺を忘れたのか。思い出も全部、』

部屋に押し入る前、まだ兵助の頭が機能していた最後に落としたセリフ。その後の兵助の言動は少しばかり友をたじろかせ、そして兵助が壊れたと感じた
ほどのものである

「殺される!」

縄抜けなんて言葉も知らないような中身素人の***にとって、暴れても緩まず皮膚に食い込む縄は忌々しいだけ
下衣をはだけさせ褌を緩められた***は、なにする気だなんなんだやめてくれ近くにこないでくれとひたすら拒絶を叫んだ
けれど当たり前のように萎えている全男性共通の弱点を握られれば、切り落とされるのか潰されるのかと青ざめ息を飲む

「な、なに、なっ、えぇぇ!?」

なんの抵抗もなく咥えられた瞬間に食い千切られるのかと竦めど、丁寧に舐められ吸われ扱かれていく事実にぽかんと口を開けて、***ははじめてちゃんと兵助の顔を見た
兵助はそれに気づき嬉しそうに目尻を緩ませ、気持ちいい?と小首を傾げる
だが***はそんなセリフを右から左に通し、い、意味わから、な、え?と青ざめたまま逃げようとして、まだ駄目かという兵助になにがだなんなんだと叫んで逃げようともがいた

「ほら、身体はちゃんと反応したのだ。」
「せっ、生理現象じゃないかっ、」

生命の危機も加われば勃つのもわかるが、兵助が上手すぎるのが原因だ。その術を知る兵助に、念入りな愛撫など経験のない***は動揺状態でわけもわからぬまま下半身だけその気にさせられてしまった

「ダイジョウブ、ちゃんとキレイにしてきたのだ。」
「っ、ひぃぃぃぃっ、」

ずぷずぷと自分の常識外の穴に自身が埋まっていくのを見ながら、***は声にならない悲鳴をあげてから病気になるやめろと叫ぶ
ぴっちりと埋まった中は温かく蠢いて、***の口からはおぇっとえずきが漏れた。当然だが、硬度を維持できるほど***の下半身はバカではない

「き、もちわるっ、い、 んで、なにすんだっ、」

こうすれば思い出すかもという兵助の思いはあっさり打ち砕かれ、***からは溢れるように拒絶が向けられる
兵助の手は***の首に掛かり、そして片手に得意武器である寸鉄が握られた

「なんで、なんでなのだ・・・なんでなんでなんでなんでなんでっ!あんなに愛してると言ってくれたのに!一生そばにって言ってくれたのに!!思い出さないなら、そんなに俺が嫌なら、もう、もう沢山だ避けられ続けるなんて耐えられないっ!!」

***に振り下ろされる寸鉄は、***の意識を飛ばすほどに恐怖そのものが具現化したもの
くらりと暗転しかけた意識は、頬にポタリと落ちた液体に覚めていく
***の視界は焦点を近場に合わせるためにぼやけ、そして鮮明になったとこでえ・・・?と目を見開いた