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「今日から***が生物委員会委員長だ。上に話は通してある。」
「はい・・・委員長は、もう・・・」

去られるのですかと不安そうに見上げてくる***は、人間じゃない。ならなんなのかと聞かれると、答えはないけど
ただ優しくて自分の力をわかって人間を傷つけないように細心の注意を払ってるんだから、害にはならない。少なくともオレや白たちには

「兄さんと合流するし、大丈夫だ。」
「・・・代々の生物委員会委員長は、みな同じ場所へ行かれるのですか?」
「そ。オレもな。」
「・・・僕も、行きたい、」

褐色の肌を濡らす涙を拭う手はもうない。オレはもう***に優しくできない、してはいけない
***がなんだかわかんないとは言ったけど、***の話を聞く限り神に近い存在みたいだ。人から崇め奉られる、別格

「***には守るべき里があるんだろ?なら、そこにいなきゃだ。」
「僕がもしっ、もし里を守らなくなるなら、」
「その時は来い。兄さんも先輩も、先代だって委員長を務めた***を拒まない。」
「っ、はい・・・!」

月を跨げば、本当に***は独りになる。一応今月中はオレは忍術学園の生徒だから駆けつけられるけど、来月は無理だ
心配なんだ、オレ。兄さんも先輩も***が独りになることを恐れていた
***が独りになり、周りからの抑圧(ストレス)に耐えられなくなり、爆発してしまわないかと
一度爆発すれば、里一つ離れても守りきれる神懸かりな力を持つ***の全てが、原因だけでなく忍術学園をも消し去るのではと

たださ、本音をいえば、オレは***が忍術学園を消し去ったって構わない。だってさ、***はオレの可愛い弟で、後輩なんだから
忍術学園となんて、比べるのすらばかばかしいくらい、***が大事だ
でも、それじゃ***は傷ついたままになる。***は望んでないんだんなことは

「***、頑張るなよ。」
「・・・え?」
「頑張るな。我慢するな。負の感情を覚えたら、構わずまき散らしちゃえ。な!だって、じゃなきゃ***が潰れる。」

ぽかんとしたままの***の頭を撫でれば、***は意味がわかったのか青ざめてできないと首を振る
制御できるようになったとはいえチョークを粉末にする程度だった力は、今や岩石を粉末にする程度にまで上がっていた。いや、それ以上。地割れを起こせるその力は、一つ下にいる七松って奴すら遠く遙か彼方に及ばない
刀ですら***の肌を傷つけられず、肌に当たった刃に刃こぼれが生じる始末

「***。自分をしまい込むなら発散してほしい。約束してくれ。」
「・・・先輩、」
「な。」

ぎゅっと唇を噛んだ***が、わかりましたとしっかりうなずいた