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「命に別状はありません。」
「よかった・・・」

ホッと胸をなで下ろす土井さんに上手い言い訳を任せ、寝ている久々知くんをみつめる
隈も傷も髪の傷みも肌の荒れも全部が酷い久々知くんは、時折魘されるように眉を潜めて歯を食いしばった

「・・・すぐ良くなるよ。」

いい子いい子と眉間の皺をぐりぐり。何してるんすかと寄ってきたきり丸くんを、皺をのばしてるのよと指先に力を込めて誘ってみる
きり丸くんはこれやると早く目覚ましますか?と一緒にぐりぐり。何してるんだお前たちと七松くんも参加したところで、痛いっ!と久々知くんが起きあがった

「力加減できない子なの?七松くんは。」
「小平太でいいぞ。このくらいで痛がるなら相当弱ってるんだな。」

ギクッと強張った久々知くんにニッコーと笑った七松くんは、いけどんで鍛錬しようなと背中をバーンと叩く
激しく噎せて涙目になった久々知くんにきり丸くんは苦笑い、大丈夫っすかと背中を撫でた

「とりあえず入院ね。」
「え?」
「一応即日入院って形だけど、傷は縫合してあるし若いからすぐ回復するでしょ。」
「内臓が傷ついていたようだからな、ある程度食事がとれるようになるまで退院は難し」
「いやですっ・・・!」

連れて帰って下さいと幽霊のごとく足音も何もなしで現れた土井さんにしがみつく久々知くんは、こんな傷なんでもありませんと必死に訴える
最近の男子学生は丈夫なんだなぁと軽く同意してる小平太くんをみたあとにそんなわけはないとばかりに首を振るきり丸くんをみて、はてどっちだと首を傾げた

「まあまあ、捨てるわけじゃないんだし、迎えにくるから養生しなよ。」
「・・・天女様は、やっぱり、俺が嫌いなのか、だから、俺だけこんな、」
「ごめん話が見えない。別に嫌いじゃないよ?可哀想だなとは思うけど。」

かわいそう?と首を傾げる久々知くんに、だってさとため息混じりに笑ってみせる

「こんなに皆心配してるのに、勝手に被害妄想はいって落ち込んで。まずは私と天女様が別人だって理解からしようか。」

とりあえず今日は帰るから。そう言って久々知くんの小指を自分の小指で結び、指切りげんまんと小声で歌った

「?」
「ゆーびきった!」
「っ!?」

指切られた!?と自分の小指をおさえて青ざめる久々知くんの頭を約束ねと撫でて、不思議そうに小指と私を見比べる姿に知らない?と首を傾げる
切れてないぞと私の小指をまじまじとみる小平太くんに頷くきり丸くんに対しても、あのねときり丸くんと小指を結んだ

「これは約束ですよー破ったら拳骨で万回殴られて針を千本飲んで指を切って償いますよーっていう」
「それはやりすぎでは・・・?」
「そうかな?だから私は約束なんて滅多にしないし、したら必ず守るよ。」

そういうものですかと首を傾げた土井さんにそういうものですよと頷いて、大人しく養生してねとなんか買うとき用にと三千円ほど渡して病室から出た