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「そー・・・れっ!」

バチンと手に当たったボールは、敵陣に向かえば、急いで自陣に入る

ただいま、日課になりつつあるバレーボールをしております
運動神経いいからお昼休みは体を動かしたい!

「トスあげるよ!」

トッと高く上げたトス
そのあがったボールは、思い描いていたチームメイトではなく

「いけどーん、アターック!!」

体育会系のガタイの良さが目立つ青年が、ボールを破裂させた・・・当たった床が窪んで

え、体育館の床ってそんな簡単に窪むもんなの?

「いいトスをあげるな!」
「は・・・?あ、はい。ありがとうございます。」
「*****だな?」
「・・・はい。」
「わたしは七松小平太だ!」

・・・で?
なんで七松さん乱入してきたわけ?

「いい匂いだな。」

くんくんと臭ってくる七松さんから逃げるように後退れば、ギラッと鋭い目が私を射抜いた

わー野性的ぃ!

「逃げるのか?」
「ぅえ!?あ、いえ、バレーボールの続きをしたいなぁって、」

ね!と周りに助けを求めれば、首をふり目をそらされた
あれぇ!?

「ひょわっ!!」

距離を置こうとしたのを見抜かれたのか、両手首をつかまれた!痛い!
ぐいっと近づいた顔が怖い!

「七松さんっ!?」

キューティクルの少ない髪が頬を撫で、ブツリと変な音がした
首が痛いしくすぐったい

「じゅる・・・」
「ぅ、わぁあぁぁ!?」

現実逃避現実逃避!白昼夢に逃げろ!!
血を吸われてるなんてそんなバカな!

「うあ・・・あ、」
「じゅ、・・・ちゅ。」

目に入るつかまれた手首から煙が上がる
私は痛くないから、七松さんの手が焦げて・・・るんだよね?一切気にしてないけど

「やめ、キモいっ!やめて!!」

ゾワゾワゾワッと全身に鳥肌がたち、全力で叫んだ・・・ら、七松さんが弾かれた!威力は伊賀崎君の時の比じゃない!!

「・・・なにをした?」
「ひぎゃ!」

女の子らしさ?いらないからそれ!

手足を使い着地した七松さんが顔をあげれば、まさしく獣
一瞬で詰められた距離に変な悲鳴まであげて

「小平太!!」

空気がビリリと震えた
大声の主はズンズンと近づいてきて、七松さんを引き剥がしてくれる

「・・・すまん。」
「謝ってすむわけないだろバカタレ!」
「大丈・・・夫じゃないよね?咬まれた?」
「印が出ている。」
「小平太!なに眷属の印つけてんだ!」
「小平太は手がはやいな。」
「感心しないの仙蔵!」

め、めまぐるしい。
美形な方々が揃いも揃って六人も、私の目の前におわすんですが
皆様やはり吸血鬼なんですかね?

「血がでてるな。」
「触ってもいい?」
「・・・だ、だめ。」
「・・・そっか、」

いつの間にかいなくなっていたクラスメイトに薄情者!と泣きたくなりつつ
すっと息を吸い・・・

「土井先生助けて下さい!!」

と叫んだ。

「何かあったのか!?」
「ぅきゃっ!!」

一瞬で背後にあらわれた先生に、もう泣いた。無理だって。明るいお化け屋敷だよここ

「七松さんに咬まれました。で、不審者に囲まれて触ってもいい?なんて・・・不審者っていうか変質者じゃないですか。私早退します。」

ノンブレスで言えば、先生が六人を「おまえたち!!」と怒鳴る

「本人に許可なく吸血するなと言ってあるだろ!」
「許可なんてしませんから!」
「そ、それが、」
「小平太が眷属の印しをつけてしまいましたよ。」
「けんっ・・・」
「その眷属ってなんですか?」

疑問を口にすれば、先生は授業のように説明しだす

「眷属とは!我々吸血鬼が能力をわけるかわりに血を吸わせてもらうという主従関係のことだ。」
「二の腕になんか出てない?」

腕?と捲ってある袖を更に上げれば、刺青みたいな痕があらわれる

「・・・まさかこれ?」
「小平太の印ってこれなんだね。」

眷属?眷属・・・?血をあげんの?なんで?

「心の底から嫌。気持ち悪い。」

首をさすりながら拒否すれば、二の腕から黒い靄がたって、印しがきえた

「・・・・・・消えた!先生消えましたひゃっほぅ!」
「え、きえ、」
「日頃の行いの賜物かな?やったね!」
「いやいやいやいや!印し消えるの初めてみたよ!」
「え?知りませんよそんなこと。指輪のおかげじゃないかな?」

では早退しますさよーなら!とダッシュでかえり

指輪をくれた母親をひたすら崇め続けた