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「疫病が治まったということか。」
「いえ・・・」

雑渡は口篭もる諸泉の横で同じ様に俯き気味の高坂に目を向けるが、高坂も言葉を選んでいるようだ
少し間を空けて漸く口を開いた高坂は、神の使いが降り立ち病を消し去ったようですと目を伏せる
それに諸泉がもっとマシな説明しようって言ってたじゃないですかと焦り、雑渡の眉間にしわが寄った

「神の使い?」
「は、はい・・・夕暮れに光輝きながら人が降りてきて、病を治し畑を蘇らせ井戸を甦らせたそうです。」
「人が空からね・・・敵国の忍びの線は?」
「ないとは言えませんが、奇妙な着物を着て、雨を降らせているのを確認しています。」

幻術かと思い夜降り立ち畑を確認すれば土は湿り豊かに野菜が実っていた

「神の子で、神子様、と呼ばれています。」
「神子様ねぇ・・・現実味がない話だけど、殿に話してみようか。」

死んだ村が生きていた。神の使い。幻術ではない不可思議な能力。

「珍しいものは欲しくなっちゃうよねぇ。」

雑渡の呟きに、山本のため息が重なった