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「・・・いやだ。」
「行きなさい。」
「無理!」
「決定事項だ!」
「ぜぇっっったい嫌だ!!」

入学にあたっての冊子をテーブルに叩きつけ
ついでに、学園長直々に下さった達筆過ぎる手紙もテーブルに手と同時に叩きつけた
結果、テーブルが割れた。

「バカ親父。」
「いいじゃないか!入学金返金、積立金と学費免除で大学まで進学確定!受験戦争から解放だ!!」
「だからって・・・だからって・・・!!なぁんで私がっ!吸血鬼だらけの学校に行かなきゃならないわけー!!?」

グシャグシャになった手紙の最初の一文

純血の人間が入学を決めて下さったこと、心より感謝いたします。

なに純血って。と目を泳がせあっから様に口笛まで吹きやがる父親を問い詰め三分
「高校の進路は、お祖父さんの遺言で決まってたんだ。」とテヘペロッて言われた言葉に、はあぁぁ!?と叫んだ五分前

「お、お父さんのお祖父さんのお祖父さんが学園長と仲良しなんだよー!」
「だからなんだー!!」
「あんたたち煩いのよ!!!」

台所からとんできたフライパン(凶器)を頭に喰らった父親が昏倒し(私は避けた)、話し合いは強制終了となった

「お母さんから話すから、座りなさい。」

と笑顔で座った母親の椅子の下には昏倒した父親が・・・



この世界には「吸血鬼」と「人間」がいる。それは知ってる。

でも、「吸血鬼」のほうが長寿だし、何だかんだ弱点はあっても強いし不老だし?で、餌になる「人間」が減り過ぎちゃったんだって。
んで、このままじゃ餌が無くなって餓死か共食いかの二択。それはまずい。と立ち上がったのがお父さんのお祖父ちゃんのお祖父ちゃん(それって何世代前?)の大親友である人
その人が学園を設立し、「吸血鬼」の健全な育成(日本語難しいね)と、「人間」の保護と共存を掲げたその幼稚園から大学院まである私立校で頑張ってたんだって。
絶対に「人間」との共存を果たしてみせるって約束して。
それでも「人間」は減り続けて、今や「吸血鬼」か「ハーフ」が占めてるらしい。

この辺で眠くなった。
父親が途中復活したせいで、本当はもっとグダグダ長い。


この国で・・・今や「人間」だと言い張れる「吸血鬼」が入ってない一族で、更に雲隠れてないのは私の家だけだって。
皆怖がって消息絶ってるって。


でだ。大親友である人がお父さんのお祖父ちゃん・・・ご先祖様との約束を果たしたいから、私に白羽の矢が立ったって。
意味わからん。果たしたいからなんだ。


「私立大川学園。名門じゃない。」
「私餌になんてなりたくなーい!!」

因みに、今まで行ってた学校で無事だったのは、16歳になるまで「人間」は人間臭くないからだそうですよ。
思春期に臭いとかいうなよな。


「大丈夫よ。はい、これあげるから。」

ころんと歪んだテーブルに置かれた指輪に、首を傾げる

「シルバーだから手入れは大変だけれど、御守りだから。」
「・・・私も雲隠れしたい。」

無理。と笑った父親を殴り、私は明日から始まる高校生活に鬱になりそうになった


余談ですが、本日は入学式でした。
出なくていいって言われたからヒャッホーとか思いながら部屋でテトリスをしていた時に戻りたい。

出なくていい理由?両親も「人間」だから、「吸血鬼」の親御さん達に喰われないためだって。