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知らない屋敷に連れて行かれ、草の臭いがする部屋でよくわからない手当を受け
何だか純日本家屋な部屋に通されよく生きて戻ったと涙ながらに抱擁をくらってよく休むよう労られた


全くもって、意味が分からない


時代劇の忍者の里的な多さの忍者っぽい人たちと、同じような服から白い浴衣の帯びなしを着せられた僕
ぐるぐる腕やら脚やらに包帯を巻かれ、生きていてよかったよと深緑の服の少年に言われた


やはり、意味が分からない


「あ、あの、」
「どうしたんだい?ああ、絶対安静だからね。数日はここで過ごしてもらうよ。必要なものは同室の子に頼むといい。」
「ちがっ、そ、の、僕、*****、ですよね?」
「・・・そうだけど。」
「ここはっ、どこですか?貴方は、貴方たちは 、誰、ですか?えっと、助けていただいたのはありがたいのですが、僕、確かに死んだはずで、」
「なにも、覚えてないのかい?」

ドクンドクンと耳元で鳴っているかのような心臓と、今にも口からでそうなほどぐるぐる気持ち悪い胃に落ち着けと叫びながら
こくりと、黙ってうなずく

「・・・新野先生を呼んでくるから、待っていてくれる?」
「はい、」

足音をたてずに出て行った少年を見送り、暫く天井を見上げた

少しして成人男性二人とさっきの少年が入室
優しそうな顔の男性が、僕の前に座る

「名前はわかりますか?」
「え?は、はい、*****です。」
「覚えている最後は、どんな場面ですか?」
「・・・刺されて、倒れたとこです。あとは真っ暗になるまでぼんやりで、気付いたら、森の中にいました。」
「年はわかりますか?」
「19、になりました。確か。」
「そうですか。」

少し考えた男性が、にこりと穏やかに笑う

「色々不安でしょう。何か質問はありますか?」

視界の端で、もう一人の男性が少年を下がらせた

「ここはどこですか?」
「忍術学園という、忍者を育成する全寮制の学舎です。この部屋はその中にある医務室ですよ。」
「忍術学園・・・僕は生徒、ですか?」
「五年い組に所属の、優秀な生徒です。委員会は用具委員会に所属しています。」
「五年、い?い組?で、用具委員・・・」

一組とかA組とかじゃないのか。と古めかしさを感じつつ、聞きにくいことも聞いてみる

「お名前を、お伺いしてもいいですか?」
「私は新野洋一といいます。こちらは山田伝蔵先生。先程の彼は善法寺伊作君です。六年は組で、保健委員会委員長をしていまして、これから・・・なにか困ったことがあったら相談してみて下さい。」
「改めて、私は一組は組実技担当山田伝蔵だ。」

随分とダンディーだけど、なんだか優しそうだ

「***はこの学園の大切な生徒だ。記憶がなく不便だろうが、記憶を取り戻すにはなくなる前の環境に身をおくのが良いらしい。我々教師は事情を把握した。安心して学園生活に戻りなさい。」
「・・・え?あの、僕ここにいてもいいんですか?」
「もちろんです。学園長先生も了承済みですから。」

なんだか知らないけど、訳が分からないまま野垂れ死にはしないで済みそう

ありがとうございます。と、深々頭を下げた

「あの、もしかして僕年違いますか?」
「よくわかりましたね。君は今十四。善法寺伊作君は一つ上ですよ。」

・・・まじか。