1 
「・・・随分ボロボロだな。」

食欲に任せて地上へ出て行ってから少し
ボロボロになって帰ってきたネウロを鼻で笑えば
フッと笑ったネウロが、一言

「貴様も行ってみたらどうだ?」
「地上へか?私は貴殿のような食欲の権化ではない。」
「フハハハ!我が輩には劣るが、貴様も大概食欲を中心として生きているではないか。いいから行け。」

楽しいぞ。と至極愉快に笑う姿に触発された
けれど手順を踏むのは面倒すぎる

どうせ長い一生。ここで尽きるのも悪くないと
私は地上への道を無理矢理こじ開けた



そして現れた光景に、思わず涎がでる
なんと、素晴らしく混沌と渦巻く食卓が広がっているのだ

「いただきます。」

迷うわけはない。即座に近くにいた人間から溢れ出るソレをいただいた

ゴクリと喉を通るそのエネルギーに、胃から歓喜が起こる

次々と胃袋を満たしていくソレは、魔界にはない味

「・・・なるほど、ネウロは正しい。」

ネウロに言われたとおり姿を薄くしていてよかった
思う存分・・・正しくは、目に見える範囲の人間のソレを食べ
腹は五分目。といったところか

「ふぅ。」

腹に手を添え、そばに転がる人間に近い顔に変えてから
次の食卓を探しに振り返れば
一匹の人間に服を掴まれた

「た、助けて下さい!」
「断る。」
「お願いします!俺の、俺の友達を助けて下さい!!」

不思議な人間だ
私という奇異を目の当たりにしての懇願

だが、まぁ面白い。

「貴殿が私の奴隷となるなら・・・考えてやらんこともない。がな。」

どうせ、地上での隠れ蓑を探さなくてはならないのだから

「私は***。**、***だ。精々役にたつんだな、きり丸。」
「おれの、名前・・・」
「造作もない。さてきり丸・・・忍術学園とやらに案内してもらおうか。」
「じゃ、じゃあ、」
「左様。助けてやろう・・・奴隷が一匹手にはいるのだ。安いものだ。」

「ち、なみに、奴隷って、何すればいいんすか?」

「・・・さぁな。状況しだいだ。」

服を着物に変え、周りにある、こちらを伺う気配に殺気を送った