「わはー・・・道にまぁよったよー・・・・・・」
やれやれだよ。と言いながらも、成っている木の実をもぎり採るのをやめない
オボンの実はいくつあっても困らないのだから
「久し振りに四天王に挑戦しようと思ったのになぁー・・・ここはどこよ〜、」
ガアアアアア・・・
「・・・なんの、ぅわぁ、デカい。」
明らかに並みではないポケモンが上空に現れた。しかも二体
そして、その二体が互いに放ったわざがぶつかり合い、とてつもない衝撃波が一瞬で広がった
ワタシは、無意識ボールを庇うように掴んでいた
世界が、一変する
砂煙は砂漠越えより埃っぽい
怒声や呻き声が鳴り響いて
目の前に、胸に矢を受けた人が倒れ込んだ
ああ、ヤバい。
逃げないとヤバい。
そう確信して、ワタシは近くの雑木林に身を隠した
「珍しいポケモンでもいるのかなぁ?」
各地で伝承される所謂伝説のポケモンは、実在する
そして、皆が彼らを欲しがり争う
ただ、ポケモンを使わない争いは初めて見たかもしれない
まぁ生憎、自分は博愛トレーナーではないし
ただでさえサナがボールの中で震えているのだ
長居は無用だと走るも
ガサガサと茂みを掻き分け、気付く
「野生のポケモンが、いない・・・?」
確かに、争いの近くから逃げるのは野生のポケモンならではだけど
木の実や、住んでいた形跡も見当たらないのはこれいかに?
いやな予感がする。
セレビィという時を渡るとされるポケモンが出たとき、ポケモントレーナーが時代を遡り、また、先を見たという事例があった
あの二体がそういった類のものであったなら・・・?
そこまで考えて、最後に自分がいたシンオウ地方でも確か伝承があったと思い至り
薄紫のポケモン図鑑で新しく「みつけた」ポケモンを探す
「時を司りしポケモン、ディアルガ・・・空間を司りしポケモン、パルキア・・・・・・つまり、ワタシは別の世界の未来か過去に来たわけね。」
パラレルワールドといえばワクワクしなくはないが、根無し草ではあるけど冒険家ではない
そんなハプニングはごめん被りたいのが本音だ
「・・・じゃあさっきの争いはなに?」
なにを争っていたのだろう?と首を傾げて歩き続ければ、舗装はされてないが人の通れそうな道にでる
とりあえず街にいこう。と来た方角とは反対に道を進み、ひたすら歩く
「食べれそうな木の実もないよねー・・・・・・」
ここはどんな世界なんだろう。ポケモンセンターは期待できないなぁと考えていれば、少し先に人が見える
男っぽいが、生足さらけ出したその人のそばには、馬
どうやら困っているようだ
「・・・・・・橋がない?」
近くまで来てわかった。原因はわからないけど、橋が落ちてる
だがしかし。この程度で行く手を阻まれるワタシではない!
「カイ、出ておいで!」
ボールから出たカイリューが嬉しそうに鳴くのと、隣にいた露出度高い青年が転ぶのは同時
なんだ?と青年をみれば、顔面蒼白で後退る
「向こう側に行きたいなら、連れてきますけど。」
ぶんぶんと首を横に振られたので、そうですか。とカイリューにそらをとぶと命じれば
ばさりと浮かび上がったワタシたちを、青年が呼ぶ
「あのっ、そ、その動物は竜、ですか?」
「まぁドラゴンだから竜だろうけど。気が変わった?乗っけてあげよっか?」
「ありがとうございました!」
「いぃえぇ・・・まぁ、ここからも一本道ですし、わかれるまでお話しません?」
「いいですよ!あ、馬に乗ったことはありますか?」
「ありますよ。」
じゃあ一緒に乗りましょう!と馬を指され、あぁ。と頷く
「カイ、お疲れ様。ギャロ、出ておいで!」
「うわっ!!」
カイリューをしまい、入れ代わりにギャロップを出せば、またしても青年は後退る
カイリューは珍しいからわからなくはなかったが、ギャロップはそんな珍しくないはずだポニータよりは珍しいだろうが
「ワタシにはギャロがいますし、大丈夫ですよ。」
「あ、熱くないんですか?」
「ワタシは平気です。」
凄いですね!と笑った顔に、きょとんとしてしまう
傷のある顔に似合わない、爽やかな笑顔
「触ってみます?」
「えぇ!?」
「その馬はアナタに随分懐いているみたいだから・・・それに、この子は比較的穏やかだから。」
「で、では、お言葉に甘えて。」
そう言いながらギャロップの鬣に触れた手に、一切の脅えはなく
ギャロップは気持ちよさそうに目を閉じた
「・・・本当に、熱くない。」
「うん。それに凄く速いんだぁ・・」
「初めて見る馬だけど、南蛮の生き物ですか?」
「南蛮?いや、違うけど・・・」
さぁ行こう。とギャロップに乗れば、あ!と声を上げる
「ワタシ***。一応ポケモントレーナー。アナタは?」
「私は清八。馬借です。」
「馬借ってなに?」
「ポケモントレーナーってなんですか?」
互いにでた質問に、笑った