天女、様?
デートの予定だった。久しぶりに、三郎さんとゆっくりできる日
仕事に忙しい三郎さんが作ってくれた休みにおめかしをして、多分、それがいけなかったんじゃないかなって。待ち合わせの途中で出くわした人たちは三郎さんの仕事上の敵みたいで、私は三郎さんの弱点だと狙われた
「○○!」
「三郎さんっ、」
運良く三郎さんが待ち合わせにこない私を心配して探してくれてたから、私は敵に囲まれながらも三郎さんに助けられた。何人もを相手にする三郎さんは強くて、私は草の影に隠れながら三郎さんを応援するしかなかった
「っ、○○避けろ!」
「え・・・!?アッ!」
「がら空きだぞ鉢屋。」
三郎さんの悲鳴があがる。私の肩には忍び寄ってきていた敵からの一撃が入り、揃って地面に倒れた
痛くて熱くて、三郎さんに振り下ろされる凶器に目の前が真っ赤に染まる。私の血は、私の激情に従い、重力に逆らった
あとはもう、ゴングの音だけが頭の中に響いただけだった
ぽたりと血が落ちる。地面が溶けてクレーターだらけ。足元には沢山の汚い染みがあって、人の形をしているのもある
なんでこんなことになったんだっけ、思い出せない。ただ、三郎さんが、ピンチで
「さ、ぶろ、さん・・・」
よく見てきたものだった。仕掛けてきたニンベン(人工的に作られた能力者)相手に力を制御しきれず、結局、穴だらけの死体がドロドロに溶けるまで力を使った
それと、同じ
「三郎さんっ、三郎さん!」
血を出し過ぎて朦朧とする中で見つけた三郎さんは、目を見開いてごろりと転がる
ぽっかりと空いた穴からは千切れた腸がでろりと溢れていた
「ごめ、なさ、ごめっ・・・!」
制御なんて全然できてなかった。制御なんてできるわけがなかった。必死になったら、どんな訓練も何もない。わかってたのに、夢を見てた
「いやっいや!ごめんなさいごめんなさい私が生きててごめんなさい!!」
べったりと色付ける赤は自分のものと人であった液体が混ざったもの。キツイ臭いにえづかないのはもうこれが当たり前だったからだ
「私が、殺・・・」
化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物化け物!どこまで行っても私は化け物なんだ!!
泣きながら笑い出した身体からは、夥しい量の血液が溢れ浮いていた
生きていいって言ってくれて嬉しかった。人殺しを否定しないでくれて救われた。その分、失った事実に力を制御する気力なんて残らなかった
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