10 / 16 09 ミケに連れられミケの私室へと案内された○○は、座るように指示されると少し悩み床へ直に座る。違うとイスの背を叩き自分のデスクへ寄りかかったミケは大人しくイスに座った○○へ鍵を投げ渡し、○○はじっとミケを見上げた 「・・・どうした。」 「いいの?」 「手枷をしたままでは危険だ。」 「別に!この程度枷にならないよいけるいける。」 でも外していいならありがたくと鍵をあけ手錠を落とした○○にドッグタグとペンダントを返したミケは、ありがとうと寂しそうに二つを撫でる○○の頭を撫でる うひゃーと言いながら大人しく頭を撫でられる○○はつけてつけてとタグをミケに渡し、ミケは○○が髪をよけている間にチェーンをかけた 「あんがと!」 「それに書かれている英数字はなんだ?」 「これ?これはランク。私が生きている証、かな。」 死んだら破棄されちゃうからとタグを握り締めた○○は、私の主人になりたいの?とミケを見上げそれはできないんだこめんねと悪戯っ子のように小首を傾げてみせる 別に主従関係になりたいわけではないと否定をしたミケはいくつか質問があるとデスクまで歩き引き出しから紙を取り出すと、イスに腰掛けペンを握った 「質問?なになに?」 「名を、まずは。」 「名前?名前は○○!よろ!」 「よろ?」 「よ、ろ、し、く、ねっ!て感じ。」 「・・・言語が違うのか。」 「いや一緒じゃん!?」 通じてるじゃん今喋ってんじゃんと騒ぐ○○に少しボリュームを抑えてくれといいたげに小さく息を吐き出したミケは、鼻が痛くなってきたとまた垂れはじめた鼻血をぼろ切れとなりつつある黒Tシャツで拭う○○にハンカチをあてる ○○はハンカチが汚れると嫌そうな顔をしたが、ミケにより鼻血を拭われ鼻をテーピングされてとりあえずシャワーだと部屋から通じるドアを指さされた 「・・・シャワー、いいの?」 「浴びない気だったのか。」 「えー・・・いやぁ、うん、浴びる。」 いっただーきまーすとシャワー室へ突撃していった○○は質問は名前だけだったの?とドアの影からひょこっと顔をだし、後でいいと言われあっそと中へ引っ込む ○○がシャワー室へ入ってすぐ、見計らったかのようにハンジがミケの部屋を訪れ、聞けた?とミケの持つ書類を覗き込み彼は?と部屋を見回した シャワー室を黙って指したミケはちょっと覗いてくるねとドアノブをつかんだハンジの手に自分の手を重ね、覗きよくないと首を横に振る 「彼の身体能力の秘訣は肉体にある!いいじゃない覗くくらい!」 ミケだけ狡い!ケチ!私だって彼をよく知りたいのに!なんだかミケにはハンジと○○のノリに似通った部分が多い気がして、自分の班ではなくハンジの班のほうがよかったのだろうと漠然と考えた 「彼が女ならリヴァイとの最強の被検体が産まれるのに・・・!」 本人同士が拒否するという可能性は考えていないのか考えていてそれか策があるのか。つっこんだら負けだと目を瞑ったミケはすいませんと控え目に開いたドアから顔をだした○○にどうかしたのかと近づき、私の服どこですかと問われハンジを呼ぶ ハンジはあ、これ?とずっと握っていたズタ袋をこれ幸いと持ちながらドアを思い切り開けた ドアノブをつかむ手のまま首を傾げた○○は腰にタオルをまいたままだれだっけとでもいうようにミケをみて、眼鏡越しに観察してくるハンジへと目を向ける。入りたいの?とシャワー室からでるというハンジが観察するにはベストな体制まで整えて 「うっわ酷い傷だね!?」 「ううんそうかな?私てきにもう当たり前なんだよね。生きてるって感じがするし。私の自己治癒力と生命力ゴキブリ並じゃね!?」 「まったくだよ!酷いよこれ本当、よく生きてたね。」 胸を真一文字に横断する傷はミミズ張れのように古傷となっていて、○○に断りをいれず指を這わせたハンジはデコボコだしひきつってるしどうしたのこれと尋ねるが、○○は別に珍しかないよとくるりと身を反転させる。そして髪を避け背中にある大小様々な傷をみせ、ね?と本当になんてことないように自分の背を覗きこんだ 「私ストレス発散用だったからね!」 「その髪で隠れてる片目は見せてもらえる?」 「目?目ってこれ?みてどうすんの?」 はいどうぞと髪を両手で押し上げオールバックにした○○は白濁に濁る目を自分の指でつつき、これ色はいるんだよと笑う。そしてどうやってと問うハンジに、やろか?とミケのデスクにあるインクをつかみペン先に染み込ませぷつりと目玉を刺した 「うぎゃー!痛そう!痛そうなにそれクッソ痛そう!」 「注射器で中に色素ちゅーにゅー!たちまちカラフルおめめのでっきあっがりーってわけ。抉りだすのはやめたげてね?義眼たっかいんだから。」 はい水玉。と等間隔にペンを刺した○○は、黒い水玉柄の目玉を瞼を目一杯開きみせてきもいっしょと笑う 「きもいっしょってなに?」 「気持ち悪いでしょ?気色悪いでしょ?っていう意味。なになに略すと通じない系?マジかーちょー不便。」 「確かにメチャクチャきしょいね!色抜くのどうすんの!?」 「えっと、確か食塩水で洗ったり、まぁこんくらいなら寝ておきたらきれいさっぱり!慣れてるからね!」 どんなんにも適応するよとまた髪で片目を隠した○○は袋の中から服を取り出しハンジの前で着替えようとするのをミケに止められ、ハンジは残念そうにシャワー室に押し込まれる○○を見送った 「恥じらいは。」 「ないね!」 「私もないよ!」 着替えたー!とシャワー室から出てきた○○は濡れた髪をヘアクリップで止め、ふんふん鼻歌を歌いながらイスに座る 凶器になりそうとヘアクリップを触られながら、○○はハンジを無視して質問の続きはとミケをじっとみた 「・・・出身は。」 「イーストゲート!」 「歳は。」 「知らないなー?」 「薬を服用する理由は。」 「あれがないと生命活動が維持できない。残念な身体だよね!」 「仕事はしているのか。」 「やってるやってる!内容はナ・イ・ショ。」 「身体能力が桁外れだと認識している。何か特別な訓練を受けたのか?」 「元からこうだけど、まあ傭兵やってたこてあるしー?必要に迫られて、みたいな?」 「・・・我々調査兵団がなにをする組織か、知っているか。」 「しーらんぺ!憲兵って警察っしょ?駐屯兵と調査兵は知る必要なかったし?でもさっき遠足行くって言ってたからそうなんでしょ?」 「巨人を、知っているか?」 「知ってる知ってる!壁の外にいる大人間だ?」 会いたい大人間がいるの?会いに行く?用事があるなら来月なら私代わりに行くけど。なんのひっかかりもなくさらりと言われた台詞にミケとハンジは互いを見て、壁外によく行くの?とハンジが問う。それに、○○は行くけど、なんで?と首を傾げた ≪≪prev |