聖なる夜に狙撃銃

「リア充シネ。死にさらせ。」
「なぜそうも殺気立つ。」

そして気が散ると文句を言われた茉莉亜は、それを無視してリア充爆発しろと呟き引き金をひく。ライフルから放たれた弾はキレイな右回りで対象者の脳を狙い撃ち、その弾道を美しいとスコープ越しにうっとりと眺める

「近すぎる。」
「これ以上距離あると死が遠すぎる。わからないかなぁ、瞬間の高揚感。」
「わからん。私は、仕事だ。」

私だって仕事だよと遺憾ですを表現する茉莉亜を手ではらい、照星はゆっくりと息を吐き出した
じわりと汗が滲むような殺意は弾に込められ、対象者の命を奪う
スコープを覗きながらそれをみていた茉莉亜は、その腕だけはホント愛してるとまるで恋する乙女かのような目で照星を見つめた

「・・・気味が悪い。」
「額にゴキブリつけた奴がなんか言ってる。」
「覚悟はいいか。」
「やだ。次、スコープなしで赤い服の女が声をかけてる奴。」
「赤い・・・サンタの衣装か。」

照星の口からサンタ。とけらけら笑いながらスコープを外し指をならす茉莉亜にため息をつき、照星は次は私が先だとスコープをしまう

「どーぞ。どうせ成功でしょ。」
「お前もだろ。この比較に意味などない。」
「意味はある。金がでる。」

優秀な方を雇うったって、どっこいだからねぇと一応同意をした茉莉亜が、舞い落ちてくる雪に盛大な舌打ちを漏らした
それに呆れたような顔で空を見上げる照星は、やりにくいなと標準を定める
寸分の狂いなく対象者のこめかみに撃ち込まれた弾は、茉莉亜に歓喜の声を上げさせた

「わぁお!やっぱ照星素敵。そんな旧式でさ。」
「私は日本製が好きなだけで、旧式を好むわけではない。」
「私は右回りが好き。」
「・・・選び放題だな。」

照星と同じように対象者のこめかみを撃ち抜いた茉莉亜は薬莢を拾い、頂戴と照星の手にある薬莢に手をのばす
クリスマスプレゼントだよと何も言わない照星に手のひらをぐっと突き出せば、照星はため息をつきながらその手に薬莢を一つだけのせた

「ありがと。」

んじゃね、メリークリスマス!とライフルをさっさとしまいとっとと屋上から飛び降りるように階段を降りていく茉莉亜を見送り、照星はバッグのポケットからカードキーを取り出すと柄ではないなと茉莉亜の後を追った





聖なる夜に狙撃銃





「わ、わけがわからないうちに・・・やられた・・・」
「同意の上だ。」
「ホントに?ホントに同意?私商売道具かっさらわれて担がれてホテルに連れ込まれてやられたんだよ?なにが同意?どこが同意?」

同意ってなんだっけと床に投げ落とされている服に手をのばす茉莉亜は、意味わかんないホントなにがおきたのと首をふるばかり
意外な反応だなと興味深げにベッドを沈ませながら茉莉亜に近づいた照星は、埃を払ってシャツを着ようとする手をつかみ警戒する茉莉亜の裸体を眺める

「もう少し恥じらいを持てば色気も増すのか。」
「よけいなお世話極まれり。うっさいわほっといて。」

ぼすっと乱れたままのベッドに押さえつけられた茉莉亜は、むり!もうむりだから明日仕事なの!と抵抗するも、薬莢をみせられ首を傾げた

「薬莢を集めてどうする。」
「薬莢は私の恋人でうそだから!うそでしょわかるでしょっ?やめっ、」

ひやっとまだ湿るそこにつけられた薬莢に頭悪いんじゃないのと抗議をするも、中に埋められた薬莢が一緒に埋まる指が動くごとに中をゴリゴリと抉る
ばかっ、バカがいるっ、ホントバカと口から吐きながらもビクビクと身を震わせる茉莉亜は、変わった趣向だなと笑われこいつ殺すと心に決めた

「クリスマスなんて滅びろっ!」
「クリスマスのせいにするのはよろしくない。」
「黙れ変態!」


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