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こんなの現実じゃないと泣き暮らして一年
死にたくないと人を傷つけ殺す自分を正当化して一年
皆と仲良くなって笑えるようになって一年

不条理に置かれて三年

ある日、私はいきなり、訳も分からないうちに日の光を浴び
私は、関わったことのない人からの迫害を受けた


そんな私に、看守は淡々と
私が苦しむ始まりを、否定する告知を降らせた

「裁判、ですか・・・」
「そうだ。明日の正午より、再審を行う。」

はぁ、そうですか。
今更、ですね・・・

「無実だって、三年も前に・・・言ったじゃないですか、」


ぐすっ、


涙が落ちるのと共に、浮遊感


「っうぇ!?え、えぇええー!!?」


真っ逆さまに落ちていく体。下に見えるは模型のように小さな木々や古めかしい建物
段々近づけば、確かに人が動いていて

誰か助けて。

口に出せる筈ない。だって、助けなんてこないのが普通じゃない
不条理で、弱者救済なんてない。狂うか黙るしかない。そんな世界が、私の生きる世界なんだもん


「っ!!人っ、」

人を巻き込む!とぎゅうと目を瞑れば、二階から飛び降りた程度の衝撃しかこない
何が起こったの?とそろりと目を開ければ、有り得ないはずのことが目の前に

「お前・・・天女か?」
「っ、」

抵抗考えても80万kg近い衝撃がかかったはずなのに、私を受け止めて、無事でいる
まさか、デッドマン、

「口がきけないのか?」
「・・・どうした、」
「あ、長次。また空から人が降ってきたんだ。」

年は同じかそこらの男子が二人
受け止めてくれた方はそうでもないけど、長次って呼ばれた方は険しい顔してる

「私っ、すいません、帰ります。」
「なんだ、帰り方わかるのか?」
「っ、え、」
「お前、ヘイセイからきたんだろ?」
「?私、は、東京にいたはずです。」
「ヘイセイじゃないのか?」

もしかしたらヘイセイなんて場所があるのかもと頷けば
へぇ。と首を傾げたのにあわせて、私も首を傾げてみる

「ここは、どこですか?」
「教えちゃいけないことになってるんだ。」
「えっと、じゃあ、携帯を貸して下さい。」
「やっぱりヘイセイから来たんじゃないか!」
「・・・小平太、学園長のもとへ。」
「そうだな。」

ざっと走り出した二人に、私は嫌な予感しかしなかった
離してと転げるように小平太と呼ばれた人から抜け出して、距離をとる

「小平太・・・」
「なはは!・・・油断した。」

ピリッと肌を刺激する殺気
顔以外露出してないのに、服の下に感じる感覚は、まだ、死肉祭の比ではない

「あ、なたたちはデッドマン?」
「ん?わたしたちを知らないのか?」

どんなに有名な囚人でも、地下に隔離されていた私は知らないわからない
知らない。と小さく言えば、不思議そうに首を傾げたその人は
グンと距離をつめ、手刀をおとした




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