ラズベリル 4 *


数日前に出た白点からは南蛮風の天女様が出てきて、善法寺伊作先輩と潮江文次郎先輩か裏山から連れてきた。今度の天女様はどれくらい滞在するんだろう?無害そうならずっといてくれれば、次の天女様がこなくて平和なのにね

そんな話を伏木蔵と・・・不運なわたしたちがそんな話をしたせいかな、よくわからないけど、空に一つ、白点があらわれた

「あれが噂の白点?僕たちの真上だね。これは事件だよ〜!」
「そうだね伏木蔵早く逃げよう!!」
「みてみて乱太郎、すっごく近いね!」
「そうだね伏木蔵足動かして!!」

白点から降りてきたばかりの天女様は、みんな揃って強力な妖術を使えたから。だから逃げようっていうのに、伏木蔵は足が動かないなんててへっと首を傾げてわたしを強くつかんだ

「怖いみたい・・・」
「わたしもだよっ!」

誰か助けてと叫んだわたしたちを飛び越えて、手足を存分にさらけ出した女の人が斬り込んでいった。放り投げられた鞘を受け止めたわたしは、あれは誰と伏木蔵と抱き合ってその場にへたり込んだ

「ダイヤを返せっ、月人!!」

悲鳴を告ぐ隙もなく、縦に割かれた新しい天女様から血が吹き出てわたしたちに降り注ぐ。同じように返り血を浴びた女の人は消えていく新しい天女様から何かを奪い取り、軽やかに地面へ着地した

「何この赤色・・・ベタベタで不愉快。あ、それ僕のなんだ返して。」

顔の血を拭いながら近づいてきた女の人は、近くでみたら男の人にみえてわたしは差し出した鞘をとった手をじっとみる。あまりに綺麗で傷がなくて、でもすごく速くてしなやかな攻撃だった

「あ、あの、あなたは一体、」
「ペツォッタイト。仲間は僕を***と呼ぶよ。」

で、君たちも月人かな?パチンと鞘を腰につけた***さんは、あの速さで僕たちに切りかかる。それは割って助けに入ってくれた土井先生の苦無に刃こぼれを起こさせ、山田先生から打たれた手裏剣はキィンと***さんの素肌に弾かれた

「あ、あの人なに・・・?」
「わ、かんない、けど、強いね・・・」
「話を聞いてくれ!」
「月人と交わす言葉など持ち合わせはないっ!!霧散させてくれる!」

ビリビリと伝わる怒気は、***さんの刀がふっ飛ばされても変わらない。山田先生の刀を、***さんはくるりと回りふわりと浮いた髪で弾く
微かに、光が散るように***さんの髪が欠けた

「山田先生待ってください!!」

山田先生の腕にしがみついたわたしは、欠片を拾ってキレイと太陽に透かしてる伏木蔵を呼んで***さんを指差す。伏木蔵は欠片を握ったまま、刀を拾って攻撃をしかけようとする***さんに抱きついた
***さんは危ないと叫び、伏木蔵を引き剥がす

「あ、争うのは止めて下さいっ、」
「離せ月人っ!」
「僕は月人じゃありません人間です!」
「ニンゲン・・・?」

なんだそれと刀を下げた***さんは、走って近づくわたしにお前もかと首を傾げてここはどこだと伏木蔵から欠片を受け取った

「話をしたい。お前たちと。」

わたしと伏木蔵の襟首をつかんだ***さんは、いいよな?と山田先生と騒ぎに集まったみんなを抑えつける土井先生を睨む。刀は、まだ鈍く光っていた



「5」へ



(45/79)
[back book next]