可愛い子は好きだけど


!子ども(名前固定)が生まれるよ
!捏造しかないよ
!妊娠・出産ネタ




「・・・は?」
「なんだ昆奈門、耳が遠くなったか?」

ほれ嫁だと指された少女と指した甚兵衛を何度か往復した昆奈門は、もう一度は?と首を傾げた

「そろそろ子を残さねばなるまい?」
「いえ、その・・・」
「使い終われば処分してよい。それとも顔が気に入らぬか?」

顔を削げば問題なかろうと口端を上げた甚兵衛にも眉一つ動かさない少女は、何も答えぬ昆奈門を回答として甚兵衛に頭を下げてから懐刀を耳と頬の境に宛がい力を入れる
はっとその手をつかんだ昆奈門は、血の伝う懐刀を離し甚兵衛にかしづいた

「では、有り難く頂戴いたします。」
「***、こやつをその気にさせ子を成すのが役目と忘れるな。」
「もちろんでございます、お父様。」

は?と今度こそ固まった昆奈門は、思わず人払いをしたことを忘れて周りの気配を伺ってしまった

甚兵衛を父と呼び否定されない***を自室へと連れ帰った昆奈門は、とりあえず座りなよと自分も座る
目の前に背筋を伸ばし座った***は、明るい外を見てからことりと首を傾げた

「お父様は、貴方様を大切にしておられるのですね。」
「・・・大切、とは少し違うけどね。とりあえず、君が何者か聞いてもいい?」
「私、は・・・以前女中として雇われ城主様にお情けを頂戴していた女の子にございます。」

方法は心得ておりますと笑う***にいやそうじゃなくてと首をふる昆奈門は、ちゃんと未通女(おぼこ)ですがと言われより悪いと頭を抱える

「気が、進みませぬか?」
「・・・歳は?」
「十四になりました。月のものもしっかりとあります。どうぞ、お使いください。」

気乗りしないどころか罠だとすら思えてきた昆奈門の腕に手を添える***に、こんな男にいいように遊ばれたいのは本心かと、包帯をむしり取りその手を取りながら問うた

「・・・母は油の染み込んだ縄で縛られ焼かれました。母の死体を思えば、この傷はなんの理由にもなりません。私は、お父様に生まれてこなければなんて、言われたくありませんし。」
「・・・子を成せば殺されるかもしれないよ?」
「構いません。ただ、子には杏奈とつけてもよいですか。」

それは構わないけど男だったらどうするのと、昆奈門は首を傾げながら今からするよと床に***を伏せさせる
鬼がでるか蛇がでるか、昆奈門にはわからない。ただ、せめて痛みのないようにと、当然自身の全て収まりきらないだろう固い秘部に指を這わせた




可愛い子は好きだけど




「どれが当たったのでしょうか。」
「さぁ・・・悪阻がくるまで毎日したからね。どれか、じゃない?」

床上げを迎えた***とひと月以上ぶりに会った昆奈門は腕に抱かれるふにゃふにゃの乳児に、同じ人間とは思えないと触れる
昆奈門の堅い指先をあむりと食べる乳児は、くるんと昆奈門をみて左目から左耳にかけての痣に息をのんだ

「これは・・・もしや、私のせ」
「可愛い可愛い杏奈門。きっと、皆様のお役にたつ子へ成長させます。」
「ごめん、色々いいたいけどまずは。その名前はないんじゃないかな。」
「こんなもんにそんなもんがいるのなら、あんなもんもいてよいと思います。」

そういうものかと幼名をすっ飛ばして名付ける***をみた昆奈門は包帯の上から溶けて原型を留めない自分の顔に触れ、人の顔しているだけいいかと乳児の顔を眺めた

「・・・可愛いね。」
「はい。」
「なんだかちょっと、殿にも似てる。」
「そうでしょうか・・・猿にみえますが。」
「・・・可愛いっていわなかった?さっき。」
「可愛いですよね?この子。」

この子ちょっとズレてる子だと苦笑した昆奈門は、ぐずりだした乳児に乳をやる***の頭を撫でながら横に腰をおろして縁側に並ぶ

「月のものはきた?」
「いえ、まだです。」
「悪露は終わった?」
「はい。」
「陣内。」
「産褥期の女性ですから無理はさせないでくださいね。」

突如現れた山本に目を見開き固まる***は、腕から乳児が取られ伸ばした手をつかまれ眉をさげた

「二人目作るよ。」
「ふ、たりめ、」

身ごもっていれば多分消せとはいわれないだろうと昆奈門は思うのだが、***にいう必要性は感じない
山本の腕であやされる乳児は障子で遮られ、***は久しぶりだから優しくするねと触れてくる昆奈門にぽろりと涙が零れる

「・・・まだ痛い?抜糸はしたんだよね?」
「下の傷はもう大丈夫です。ただ、貴方様の優しさが嬉しくて・・・」

だって死なせたくないでしょと額に口づける昆奈門は、怖くないよと子どものように泣く***を抱きしめた



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