あっさり *


捏造あり



「喰種VS.白鳩?全然興味ない。」

私の餌場荒らさないでねと口元を赤く染めながら笑った***は、お腹一杯と袖で口を拭い酒をボトルから直に飲み干すと顔の上半分を隠すマスクをして鋭く相手を睨みつける
ぺこりと頭を下げた相手にじゃあねと手を振り、食後の運動行ってきますと笑った

戸が一つあるだけの建屋の中で相手を追い出し着替えた***は、戸を開けて固まる。あれー?と部屋を振り返り外を見直し、そしてまたあれー?と口に出した
なぜだろうか、***には理解できない。部屋の外が見知らぬ廊下なのだから

「酔って寝ちゃったか。なら夢ね。うん。」

なら遊ぼっととバッグを引っ掛け、躊躇いもせず廊下を靴で踏む
騒がしい建物内を闇雲に走り回った***は、一つの部屋の戸が開いているのに気づきしっつれーといいながら畳を踏んだ

「・・・修羅場?」

変な顔をした男が女に跨がられて刀を振りかざされている。男も女も自分をみているのに首を傾げた***は、雌のが好きと呟いて頬をかじった
バツンという聞き慣れない音を感じた女は訳も分からずふらふらと立ち上がると、自分の頬に触れ叫ぶ
うっさいと煩わしそうにのどに喰らいつき血を啜って肉を咀嚼しながらおいしいと無表情ながらどこか嬉しそうな***に、男はお主はいったいと問うた

「贅沢な食べ方しちゃった!幸せ。」

お腹いっぱいだからこれ以上いらないとお腹を撫でながら天井を見た***は、しっかしこの夢醒めないなーと呟いて男をみる

「甚兵衛!覚悟ーっぎゃぁああああ!」
「思ったよりまずかった。ショック。」

気分悪いと肉を吐き出し突入してきた男の心臓を抉り出し騒がしい男を黙らせた***は、ふてくされながら落ちている女の死体のそばに座り、まるで軟骨を食べるように指先からコリポリといただいていった

「お主は何者じゃ。」
「喰種だよ。」

あ、綺麗。呟いて男から刀をとった***は、自分の腕に振り下ろしたり引いたりしながら刀で遊ぶ
そして刀が歪んで修正がきかなくなるまでの少しで飽きたのか、こんなおもちゃじゃくすぐったくもないよとおかしそうに笑った

「名はなんと申す。」
「私?私は私。***っていうの。あなたまずそうだからいらない!」
「***か。***、柔らかなおなごは好きか。」

柔らかいの大好き!と子どものように笑った***に、甚兵衛はにやっと笑いかえす
きょとりとした***はなぁに?と首を傾げながら、立ち上がった甚兵衛の後ろに降り立った男の身体を引き裂き肝臓を手にすると、ぷりぷり!といいながら喰らいついた

「儂につけ。したらばおなごはお主にくれよう。」
「あなごってなに?」
「穴子は魚類でおなごは人じゃ。」
「人好き!私の唯一のご飯だよ。」
「儂はちと人の死と近しい場所におる。どうじゃ、儂のもとで敵を喰いつくしてみぬか。」
「夢さめるまでならいーよ。」





あっさり





「はじめましてー?」
「・・・殿、こちらは、」

包帯だらけの大男は薬の臭いがきつく、***は鼻がもげるといいながら部屋の隅に逃げた
そんな***に笑った甚兵衛は、未だ起き上がれぬ大男にそちが戻るまで儂の身を任せることにしたと***を指差す

「近づくの皆食べていいって、夢じゃないからすごいよねー?」
「人肉を、喰らうなど・・・鬼畜生かなにかでしょうか。」
「喰種というらしいが、よう知らぬ。興味もないが、***は裏切らん。」

それで十分だと***を見つめた甚兵衛は、目を細め臭いと半泣きの***から大男へと目を向けた

「お主がおらぬと警備が薄くなりやすい。早く忍者隊に戻るがよい。」
「・・・殿、」
「大丈夫だよ、臭いけど死臭しないし。」

甚兵衛が待ってるから早く元気になりなねと笑って近づいてきた***に大男は呼び捨てですかと甚兵衛をみて、甚兵衛は気にするなと首をふる
***はもう行こうと甚兵衛の手をひき、部屋をでる間際に大男を振り返った

「名前は?」
「雑渡、昆奈門。」
「ふぅん。お近づきのしるしに、またくるときはおいしい肉(とこ)持ってくるね。」


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