兄という点 *


・名前変換なし
・夢主=雷蔵兄
・捏造過多



君が三郎君? そう微笑んだ顔が雷蔵に似ていて、つい気を緩めてはいと答えてしまったんだ
そもそもなんで私が三郎だってわかったんだ。私、あの時兵助の姿をしていたのに

「本当に、雷蔵みたいだ。」
「っ、ぐ、」

僕は雷蔵の一番上の兄なんだ。雷蔵がいつも君のことを話すから、少し会ってみたくてね。そう笑って軽く首を傾げた姿はもっと雷蔵に似ていて、油断しきった私は雷蔵の姿になって、冗談のつもりで兄さんと笑ってみせたんだ

「ぃぎっ・・・!」
「あの子の髪の膨張具合を真似るのは大変じゃないか?ふふっ、まあ、君は変装が得意らしいからそこら辺も完璧なんだろうな。」

そこから、縛り上げられ誰も使ってない部屋に連れ込まれるまでは素早かった。雷蔵から、兄は忍術とかよくわからないみたいで授業のことはあまり口にしないと聞いていたから、その速さは私にとって青天の霹靂のようなもの
床に組み敷かれ布を噛まされ体をひらかれた時の衝撃は、とてもじゃないが言い表すことはできない

「雷蔵に聞いてなかったみたいだね。僕の家では家督を継いだ僕が一番偉くて、その僕が一番歪んでいて、そして雷蔵は僕のお気に入りだって。」

君のことも気に入ったよ。あ、逆らったら雷蔵が酷いよと笑う姿は、やっぱり雷蔵とそっくりだった





兄という点





あれがほしい。そう言えば当然それは僕のものになった
いいなぁ。そう言えば当然、それは僕のものになった
僕より一回り近く上の長兄は、いつだって僕をそばにおいて甘やかしてくれた

会席があれば上座に長兄、隣に僕。その時僕は人形のように女物の上等な着物と化粧を施され黙って座ることを求められ
僕はそれに応えるのが当たり前で、完璧に人形になりきればより一層僕は僕が欲した物に囲まれていったんだ

「兄さん、ただいま。」
「お帰り雷蔵。ちゃんとアレは雷蔵を迎えに行けたかな?」
「はい、途中途中で僕が飽きないように兄さんの話をしてくれました。」
「そう。」

いい子だねと微笑んだ兄さんは、アレと呼んだ兄さんの玩具を呼んで跪かせて迷いなく首をハネる
刀から血が滴って、それを兄さんの横でかしづいていた玩具が手で拭った
何度やらされてきたのか、傷だらけで指の欠けたその玩具は刀を渡されてもそれで兄さんを切ろうとはせず、棚にしまうだけ

「ああ、しまった・・・これじゃ喋れないね。」

雷蔵が気に入ったなら持ち運べるようにと思ったのだけどと笑って、コレ棄てといてと別の玩具が死体を片す
そして僕は手招きされて兄さんの真ん前に座ると、兄さんは僕の頬に手を添えて一層笑った

「さあ雷蔵、雷蔵の話を聞かせておくれ。」

僕も雷蔵に僕の話をしようと、袴の紐が解かれ押し倒される
異常だと思っていた学園の僕は霧散して、兄さんのお気に入りの雷蔵が素直に口吸いに応えた




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