人が見れば同種 *




・東.京/喰.種に亜.人な夢主が誰にも知られず本人すらイマイチ自覚せずトリップ
・雑渡さんが東.京/喰.種の世界の人
・どんな設定でも美味しくいただける方向け
・苦情は受け付けていません
・異種の続き




何回死んだだろう、もう、私なにがなんだか
目の前で息を切らして変身を解いていく雑渡さんは、もう一人の黒い私がつけた傷が治らず飢えるように私をみた
こわいのに逃げられなくて、何度も落として攻撃を当てられてボロボロになったネックレスを握りながら雑渡さんを呼ぶ

「私っ、私に、これ、どうして・・・」
「・・・、」

目を細めてネックレスをみた雑渡さんは、ああ、と座り込んで似合うと思ったからと頭の傷をおさえる
うまく治らない傷を見るに、多分、再生の限界なんだ。雑渡さんだって、普通なら何度死んだかわからないくらいもう一人の私に傷つけられたから

「い、いたいの、いやなんです、私、死にたくない、雑渡さんなんて嫌い。ひどい。痛くして殺すなんて最低っ!身体を切って裂いて頭を潰して抉って・・・っ、お、おかしくな、るかとっ、思、」
「・・・なら、逃げたらいいんじゃない?今なら私追えないよ。それに、野次馬だらけで君が死ぬのが何度も見られて、君自身嫌なんじゃないの。」

泣いてぺたんと座った私に警察かなんかが(スーツ着てる)駆けつけるのに目を向けて、私も死にたくないんだよねとふらふらのまま立ち上がって警察の人に対して中途半端な変身をした
でも、無理だなっていう目をしてる。雑渡さん、死んじゃうの?

「・・・グールも、警察の人に追われる、の?」
「あれらは私を、喰種を殺すための人間だ。」

血が足りないのか、変身を解いて崩れた雑渡さんに警察の人がキャリーケースから取り出した大刀?なんか、取り出して雑渡さんを攻撃する
もう一人の私でやっと反撃できた雑渡さんの身体に、簡単に刃が通った。ブシャッて血が吹き出て呻いて抵抗できない雑渡さんは、私に生気のない目を向けて何かを呟く

「やっぱり、美味しそうな肉だなぁ・・・」
「え・・・?なに?」

警察の一人に大丈夫ですかと起こしてもらってる間も釘付けで、足が折れてお腹からでろっと腸がはみ出てる私は赤黒い血を吐く。そんな私は他の被害者はと聞かれながら救急車に連れて行かれようとしていた

「ぐ、グールって、な、なに?」
「駆逐しなくてはならない、害虫ですよ。」
「・・・害虫、」
「人間を唯一の食糧にし、共喰いをし、喰うためならなんでもする感情のない害虫です。」

いいから安全なとこへと皮だけで繋がっていた片腕が離れたのを私はスローモーションのようにみながら、抱き上げてくれてた警察の人から逃げ降りて息も絶えそうな雑渡さんに走る。折れてる足とかはみ出た腸が痛くて気持ち悪くて吐きそうで
雑渡さんに対する刃が私の背中に当たり、痛くて焼けるように熱くなる。一瞬で目の前が真っ白になって雑渡さんにもたれかかるように倒れれば、驚いたように私を受け止めてくれた腕の中で欠けた腕も折れた足もはみ出た腸も傷ついた背も全部綺麗に治る。正しくは、元に戻った
驚く警察の人はお前もグールかって叫ぶけど、私はそんなの無視で驚いて固まる雑渡さんに食べていいよと泣きながら訴える

「み、見殺しにしたら、私は私の嫌いなタイプの人間と同じになっちゃう。そ、れに、私、バカみたいだけど・・・やっぱり、雑渡さんが好きなんです。このネックレスをくれた雑渡さんが、好」

言い終わるか終わらないかで雑渡さんが私に食らいつき、私は歯を食いしばって耐えた
痛みに耐えて貪るように私を食べる雑渡さんが逃げられる事を祈る。どうせ私は政府に捕まって田中さんみたいに実験され続けるんだ
なら、生き方を知ってる雑渡さんを逃がせれば、なんか勝ちな気がする。私の逃げるだけの人生の、たった一回の勝ち

「な、なんなんだ、」

もっともな発言が警察の人から漏れて、私は復活した身体にボロボロと泣く。これからを考えただけで、怖くて仕方ない
雑渡さんはそんな私を担ぎ上げて、ありがとうってぼそっと呟いた

「好きなんて、私にはよくわからないよ。」
「・・・そんなの、感覚です。」

食事、おいしかったです。そう笑った私は、私は置いてって逃げてくださいと言いながら疲労で意識を手放した




人が見れば同種




私の意識が戻ったとき、見知らぬ部屋で寝かされていた
丁度部屋へ戻ってきた雑渡さんは起きた私を抱き締めながら君はバカだねぇと笑う

「・・・どうして、私、」
「好みの味がする食糧が尽きないんだよ?連れ帰るに決まってるじゃないか。」
「わ、たし・・・でも、」

のびてきた手が私の腕をつかみ、二の腕にぶつりと雑渡さんが噛みついた
ぎゃあと悲鳴をあげて噛みついたままの雑渡さんの頭を押し返す私は、ぐぱっと抉れて出血する腕から肉をとらずに口を離した雑渡さんにえ?と呆けた顔をしてしまう

「死ねばこれ消えるよね?」
「は、はい、」
「私以外に消させない代わりに、私は君に食事も住む場所も着るものも用意する。・・・***チャン。」
「はい、」
「私のそばにいてよ。」

ボロボロで汚くなったネックレスを私に押しつけるように返して受け入れてよと唇に噛みつかれ、慌ててネックレスを握った瞬間に胸に噛みつかれ、流れでなんとも血生臭いえっちを私は受け入れてしまった



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