異種 *




・東.京/喰.種に亜.人な夢主が誰にも知られず本人すらイマイチ自覚せずトリップ
・雑渡さんが東.京/喰.種の世界の人
・グロ注意
・最早落.乱ではない
・どんな設定でも美味しくいただける方向け
・苦情は受け付けていません




「あぁ、それしてくれてるんだ。」
「え、あ!雑渡さん、はい、本当はバイト中にしたら駄目なんですけど。」

えへへと笑う***はバイトの制服から覗くチェーンを触り、可愛いネックレスありがとうございますと見えないようにいじる
それにふふふと笑い返した雑渡は、この後食事でもどうかなとちらと時計をみた
時間はお昼時で、***のバイトは五時まで。明日からテストなので遅くならなければと申し訳なさそうに笑う***は、迎えにくるねと伝票を持ってレジへと向かう雑渡へぺこっと頭を下げる

残業を断り私服へと着替えた***は車に寄りかかりタバコを噛む雑渡に近づくと、お待たせしましたとはにかむ
まだ火の残るタバコをぐしゃりと握りつぶした雑渡はお疲れ様と助手席に***を招き、私の行きつけでいいかなとハンドルを握った
ついた先は一目でお高いとわかるレストラン。私私服!と焦る***に大丈夫大丈夫と笑ったまま、雑渡は店の人と一言二言交わすと躊躇う***の手を引き席へとつかせる

「雑渡さん、私こんな高そうなとこ払えません・・・」
「私もちだから心配しないでよ。」
「そんな!私あの、お金おろして」
「お礼だから、気にしないでよ。ね?」

お礼?と首を傾げる***に微笑んだまま、早速運ばれてきた料理にシャンパンの注がれたグラスを傾けた
そんな雑渡に慌てて白ブドウのジュースの注がれたグラスをつかむ***は、乾杯?と首を傾げて見返す
乾杯。とグラスに口を付けた雑渡につられるようにグラスに口づけた***は、おいしい!とぱあっと笑った

「お肉のコースなんだけど、よかったかな?」
「は、はい!お肉大好きです。」

前菜のあとはスープ、そのあとはとおいしいしかいいようのない料理に笑顔が絶えない***はふと雑渡を見上げると、体調悪いんですかと小首を傾げる
普通だけどときょとりとした雑渡に顔色がと心配そうに眉を下げた***を、雑渡は***と食事して緊張してるみたいだねと笑って見せた

「・・・そういえば、食事を一緒にするのはじめてですよね。いつもお店ではコーヒーばかりたのまれますし。」
「あの店のコーヒーが好きなんだ。」
「私コーヒーって苦くて苦手で、お子様舌なんですよね。」
「美味しくないものを無理に食べるのは苦痛だからね、無理して口に入れる必要はないよ。」

デザートまで平らげてお腹いっぱいとお腹を撫でた***にちょっと失礼とお手洗いへと消えた雑渡は、鏡に映る自分に眉を潜めて個室へと入る
がちゃっと鍵をかけ、便器に手をついて喉奥へと指をつっこんだ

「ォ゛えっ、」

ビチャビチャと吐き出されるのは先ほどまで美味しいねと笑いあいながら食べていた料理たち。殆どが原型を留めていて、雑渡はそれらを流すと口をすすぎ***の元へと戻る
席でそわそわと待っていた***は急いで立ち上がるとやはり体調悪いんですかと雑渡の手をつかんだ

「大丈夫だよ、心配症だね。」
「好きな人のことなら、大袈裟にだって心配します。」
「・・・それは、告白かな?」

かああっと赤面した顔を逸らした***に可愛いねと笑う雑渡は、先払いしてあるからと***の手にもたれていた財布を奪いかわりに手を握る
しまってしまってとバッグに財布をつっこまれてでも、だって、ともごもごする***に口づけた

「ざっ、ざっとさっ・・・!」
「送るよ。」

倒れそうな***を車に乗せた雑渡は、ほわほわと浮かれているその姿に目を細めると無理かなとぼそりと呟く
シートベルトをしかけてえ?と首を傾げた***は、ガッ!とパワーウィンドウに後頭部を打ち付けるように首をつかまれ目を白黒させながら一瞬落ち掛けた

「ざ、とさ・・・?」
「よく人間はさ、あんな汚物みたいなものを食べれるよねぇ?」
「おぶ、つ?なに、ざ、ざっとさ、」
「苦痛だよ、本当。あんな泥水を啜ったほうがましな食事をニコニコと食べるなんて。」

レ。と反射で閉じた瞼を舐められファンデが不味いと噛みちぎられて吐き出される。理解できずに、けれど痛みで叫んだ声は首を絞められているせいで満足にでない
涙がとめどなく流れる目を舐められ押しつぶすように這った舌は、ぐにゅっと眼球を圧迫して啜るように引きずりだされる
ぎぁっと汚い悲鳴をあげた***はころころと遊ばれる自分の目玉を雑渡の口の中にみて、浮かぶ笑みに息をのんだ

「流石に、私がなにかわかったよね。」
「ッ、っ、う゛、あ、」

ガチガチと歯を鳴らしながらも首を絞める腕に爪をたてた***に、雑渡は無駄だよとぷちゅりと目玉を潰す
ヒッ、と割れた爪の痛みや恐怖で震え上がるだけの***は、抵抗しても傷一つつかない雑渡の腕に残った目を泳がせた
飲み込めない唾液は目玉不在の空いた穴からの血と混ざり、その腕に流れるばかり
助けて、死にたくない、そう途切れ途切れに懇願する姿も、雑渡には苛立ちを募らせる物だ、普通なら

「お、ねがっ、いやっ、わ、わた、し、」

けれど***に対しては何かが違う。元々匂いが変わっているなと近づき時間をかけてタイミングをみたこと自体、雑渡には珍しいこと

「私っ、ノーマルなんて、すっ、わたしっ、カニバ、り、ズムは、いやっ、」
「・・・性癖の話をしてる?」
「だ、だって、た、たべ、」
「私は喰種だよ。」
「・・・ぐー、る?」

なにそれと言いたげにぎこちなく口にした***に、手の力が強まる
かはっと詰まり暴れる***は次第に抵抗の力が弱まり、そしてゴキンという音と共にぐるんと残る目が回ってだらりと垂れた

「知らないわけがないでしょ?ねぇ、そんな無知、有り得ないよ。」

首から手を離し力の抜けた手に躊躇いなく喰らいつく。グチャグチャと咀嚼する肉は少女特有の甘さと柔らかさがあり、啜る血は今までのどの人間より癖が強い
変わった味だねと太ももを食べ腹を開いて臓物を食べ、そしてこの味癖になるねと顔を見上げて固まる
最初にちぎった瞼があるのだ。開けばきれいな目玉がおさまっていて、手を見れば細い指がぴくぴくと痙攣していた、食べたはずなのに

「・・・夢?」
「い、」

ハッと再び顔を見上げた雑渡は、べそべそと泣きながら痛い痛いと繰り返す生きている***に運転席側ギリギリに距離をおく
痛い酷いと泣いて震える***の臓物はじゅるじゅると再生していった、信じられないと目を見開く雑渡の前で

「・・・一体、」
「ごめんなさいっ、黙っててくださっ、私捕まりたくない・・・!」

亜人だって言わないでと泣いて頭を下げる***にあじん?と首を傾げた雑渡は、言わないで捕まりたくないと震え上がる***に落ち着こうかと触れる
びくっとはねた***は悲鳴を飲み込み頷くと、あじんってなに?と問う雑渡にきょとりと呆けた

「亜人は、亜人・・・です。あの、不死身の、」
「不死身?」
「首をはねられても切り刻まれても毒を盛られても生き返る、種族です。」
「・・・喰種を、知ってる?」
「・・・知りません。」

ギロっとこちらを向いた赤目に息をのんだ***は人間を唯一の栄養にする種族だよと囁かれ、その近さに逃げようとドアに手をかけそして阻まれた

「っ、い、いやっ、」
「どうやら***は、全く別次元からきたみたいだねぇ。」

どういう、と固まった***は、亜人なんて知らないよと不敵に笑う雑渡に勢いよく振り返る

「で、***は喰種を知らない。こっちの常識なのに。」
「な、なにいって、」
「ねぇ、私のものにならない?」

首を横に振りかけた***は、どん!とパワーウィンドウにひびを入れる力で当たった手にひっと縮こまるとごめんなさいごめんなさいとまるまった

「拒否をするなら、気が狂うまで殺してあげようか。」
「っ、」
「殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して、身体は再生しても正気でいられるかな?」
「や、やめ、」
「それとも、亜人だとばらそうか。」
「なんで、」
「亜人なんて、ここにはいない。かわりに私みたいなのは沢山いるよ。ねぇ、殺しても生き返る人間、失礼亜人、だね。そんなのがいたら、それは食べても食べても料理の出てくる皿だよね。そんな皿、皆欲しがるとおもわない?」

真っ青で震え上がる***に、雑渡は選んでいいよとにこりと笑う
ふっ、ふっ、と短く浅く息をする***は不気味な赤目から目をそらせず、絶望を浮かべてどうしてとずるずると力を抜いた

「決まった?」

唇を噛みしめて泣く***の涙はちゃんとしょっぱく、胸に喰いつけばクリーミーでコクがある
人間とかわらぬ非力さに癖はあるが良質な栄養、雑渡には亜人の詳しいことはわからないが、***を手に入れれば大切にするつもりではいる。あくまで食事として

「っ、起きたら知らない場所にいてっ、でも私を売ったお母さんもお父さんも優しい二人に戻っててっ、普通になれるって思ったのに、」

幸せになりたかった、舞い上がってた、私、間違ってた。泣き笑いになった***が雑渡さんなんて大嫌いと叫んで
それと同時にフロントガラスがひとりでに粉砕され、***は素早く逃げ出す
ありがとうと誰かと手をつないだ***の足にどすっと何かが刺さり、振り返った***は雑渡の背から生える何かに怯えた

「逃げたらダメだよ。」
「こないでっ、」
「まずは一回首をはねようか。」

泣き叫んで拒絶を口にする***を押さえつけた雑渡は無意識に唇を舐め、残念だったねぇと、まるで鋸でゆっくりと切るように首を斬っていく
口から鼻から血を吹き出させて痙攣する***は、死にたいと小さく小さく口にして一度死に、はっと生き返って嬉しそうに笑みを浮かべる雑渡に歯を食いしばった
そして、本当に生き返るんだねと笑う雑渡の腹を抉る手に叫んで拒否して恨みを吐き出す

「絶対にっ、ゆ、るさな、いからっ・・・!」
「ふぅん?」
「グールだかなんだか知らないけどっ、所詮力が強いだけの人肉主義者じゃない!」

私にとっては人間と変わりない。そう吐き捨てて睨みつける***に、雑渡は嫌悪と憎悪を表した顔で喉を突き破り引きちぎる
血濡れのネックレスが落ちれば、それを生き返った***はつかみぎゅうっと握って次の手を伸ばすその姿と少し前の雑渡を重ねて一瞬折れそうになった

「雑渡さんの役にならたちたいけどっ、化け物に明け渡す身体なんてない!」

負けちゃいけないと気を持ち直した***は、異形のまま背から生える何かを纏う雑渡に黒い亜人を精密に出現させた




異種




持久戦に持ち込めば勝てる自信が***にはあった。何度死んでも生き返り朽ちない身体を持つ***には
人が怖くて仕方ない、それでも***は人間に近づきたかった

体力にも時間にも限りがある雑渡は、白鳩に見つかる前にどうしても手に入れておきたかった。狩りも同種喰いも躊躇わない雑渡には珍しい執着
存在はもちろん攻撃も脆さも全てちぐはぐな変わった生き物を、雑渡は欲しかった



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