「・・・え、」
俺の着物を脱がせるのをやめて
大きな目を限界まで見開き、こっちをみてくる愛しい顔から目をそらす
「用はそれだけだ。」
「っ、ま、」
「そうだ、委員会に顔でもだすか。」
立花委員長、うるさいんだよな。とため息
足に縋ってきた恋人に冷めた目を向ける
「なんだよ。」
「まって、ま、っ、なんで、わか、れるなんて」
「みちゃったんだよなぁ・・・」
面倒だなぁと首をおさえて、足に縋る恋人を引き剥がした
その拍子に、溜まっていた涙がボロッと零れだす
「鉢屋との交尾。」
ひゅっと息を飲む音
そして、震えながら首をふる、弱々しい姿
「あ、れはっ、」
「房中術なら独り身を選べばいい。」
「っ、」
「駄目だなぁ雷蔵?浮気は見つかっちゃ。あぁ、俺が、浮気か?」
「ちがっ!!ぼ、僕は***だけ」
「ならなんで求めてたんだ?」
優柔不断な俺の恋人
どうせ断れなくて、一回ならと抱かれたんだろ?
いや、それは前の言い訳か。今回はなんだ?
素直に嫉妬してほしかった。なんて言わねーだろうが
腰ふって、すりよって、口吸いに尺八。
「痕までつけられて・・・消えないうちに俺のとこへきて、股開くのか?」
「う、あ、」
「恋人が陰間みたいに、あ、違うな。陰間は銭のため。不破は快楽のためだけか。」
「いやだっ、な、んでっ、名前っ、」
「誰かの慰み者になった体を、俺に触らせる気だったんだろ?やめてくれよ。」
着物を整えながら作法委員会へ向かう俺を、雷蔵が必死に追い
待って、行かないで、僕を捨てないでって、俺の腕をつかんだ
「離せよ。」
「やっ、い、やだっ、」
「不破。」
「っ、」
「最初に言ったよな?俺を嫉妬させようとなんて、無駄なことしないように。と。」
「知って、た、の?」
「忍者として五年。恋仲として三年。それくらいはな。」
それくらいわかるさ。
「汚い体に触れたいとは思わない。鉢屋を呼びながら果てた声で呼ばれたくない。」
「ごめっ、な、さい、」
もうしないから。ごめんなさいって
不安なのも知ってる
嫉妬はもちろん、感情の起伏が緩やかなせいで愛されてるのかわからない
好きや愛してるも事務的で、許嫁がいて
あぁ。知ってるさ
「男色じゃないしな、俺。」
「っ!!ぁ、あ、ああァ!!やめて!やめて***っ、***、捨てないでお願い!!お願いだからぁ!」
なにすれば許してくれるのかと懇願する姿に冷笑
さぁねぇ・・・自分で考えな。と騒ぎを聞きつけてやってきた鉢屋たちにちらと目をやる
それに気づかない雷蔵が、クナイを自分の腹に突き立てた
「切腹してんの?」
「許して、***、おね、がい、」
ぐぐっとクナイが動くと、ごぽっと濃い血が口から傷から溢れ出す
抉りながらも見つめてくる雷蔵に、優しい笑顔を向けた
「雷蔵。」
「!あ、***っ、」
「雷蔵は、そんなに俺が好きなんだな。」
「すきっ、すきなんだ!すきっ、だいすき、」
「なら、もぉっと深く、できるだろ?」
血に濡れだした手に自分のそれを重ねれば、震えながらも更に深くを抉りはじめた雷蔵に口吸い
「っ、ぐ、」
「雷蔵がこんなに愛してくれんのに、俺が背を向けちゃ駄目だよなぁ?」
「***っ、***、」
ずるりと抜き取ったクナイは赤く、手も染まっている
後ろで驚愕に身動きとれない四人をみながら、雷蔵を抱きしめた
「愛してる。雷蔵。」
「ぼ、くもっ、僕も、愛、してる!」
愛の証明
「雷蔵は可愛いね。」
「***っ、僕、***の一等?」
「もちろん。雷蔵は、俺の全てだ。」
嬉しい、ありがとう。大好き。
「腹、痛いか?」
「痛い、けど、この痛みが***への証明になるなら、僕、もっと痛くてもいい。」
「なら、痛み止めはいらないよな?」
「うん、うん。いらない。いらないよ、僕。」
「いつもの迷い癖がでないなんて、俺、本当に愛されてるな。」
「***、僕を、ずっと愛しててね?」
「雷蔵の愛が変わらない限り、な。」
学習しない、俺の恋人