神の名
「殺さないでお願い良い子になりますから、」

ひたりと宛がわれたナイフに臓腑の凍る思いだ
けれど、柔肌に切れ目を入れた刃は止まらない

「妊娠します沢山産みます助けて!」
「どんな姿でも生きてさえいれば?そんな戯れ言信じてる?」
「ああ、あ、あ、いやっ、」
「まさか愛が不滅だとでも錯覚させられた?」
「許して、許してくださ、」
「絶対、一生、永遠、必ず、そんな世迷い事を吐き捨てる中で、君は生きたいの?」
「助けてくださいお家に帰してください、」
「憐れで悲惨で夢見がちな、教育の産物。素直に生きられない不完全な今を愛せない怪物。君をそう育てた罪は君の解放をもって親へと与えられるよ。」
「死にたくない殺さないでください死にたくありませんっ、」
「君が来世で救われるよう、毎日祈りを捧げよう。渇いた涙もいつか受け入れて、そうしたらほら、もう怖くない。」
「殺さな、」
「さあおやすみ。君は、救われる。」

噴き出た鮮血を拭うのは、純白のハンカチだった



「ひっ・・・さびさ、今の。」
「どうした、汗だくじゃねェか。」
「・・・ううん、何でもないよ。心配かけてごめん、エド。嫌いになった?」
「嫌ならとっくに止めてらァ。グララララ!」

膝の上から降りた#name1#はありがとうと笑う
青白い顔は、陽気な天気でのうたた寝にはニツカワシクナイ

「死ぬのは、怖いことだよね。」
「あ?」
「殺されたくないのは普通だよね。」
「生きるか死ぬかの海賊やってんだ、一般常識なんざあてになるか!」
「そうだった・・・ありがとう。」



人は天からの使いである自分に食されることにより神の懐に招かれる事実を疑わなかった男が転生→若き日の白ひげに拾われる→事実が自分の幻覚、妄想だと気付かされ解離→ふとした瞬間に天の使いである自分があらわれ、昔のように神の身心のまま人々を救う→白ひげにバレて船から逃げる