ヒビの入ったグラス 3
「まったく身に覚えがないんですが・・・」
「わかっている。だが、聞かないわけにもいかなくてな・・・先月だけで十件。内五件で被害者が氷に足を捉えられている事実がある。クザン、疑いたくはないが、氷を自在に操れる者など・・・作り出せる者などまずはいない。事実だ。」
「そりゃ・・・そうですが・・・、」

パキパキと氷化させた手を眺め、クザンはおれが探し出しましょうかと頭をかいた

「いや、今下手に出られるとお前を守れない。所在ははっきりさせておきたいんだ。」
「なら・・・どうするんですか。」
「サカズキをいかせる。相手が氷なら、こちらはマグマだ。」





「うわっ、ちょ、なに、熱、」
「ぐっ、」

海水の檻もすぐ蒸発させられそうだと思ったんだけど、一瞬怯んだからいけそう
海水の玉に閉じ込めて自分の手当てを優先させたら、がぼ、と気泡があがってマグマさんが苦しみだした。その肺活量分けてほしい。何分経ったと思ってるの

「じゃ、助けがくるまでがんばってね。」

待たんか!って言われた気がするけど気のせい気のせい。僕は手を振り背を向けた

「待ちなよォ〜」
「レーザー!?レーザーだ怖いすごい!よっと。」

わかったよ面白人間万国吃驚ショーやりたいんだな?O.K.O.K.把握した。どうやらここらの面白人間は水に弱いらしいから海上なのはありがたい
がぼ、と空気を沢山吐いて意識を失ったマグマ人間にオォ〜とレーザービーム撃ってくるやつが目をパチパチさせた

「っ、え、」
「余所見は駄目だろォ〜?」

お前が言うかでお馴染みだな。あんただって余所見してたじゃん!背後から回し蹴りとか重い骨折れた
光っては背後にまわられ光ってはレーザービーム撃ってくる面白人間は人体が体現できないはずの速度で僕のHPを削っていく

「くっそ!!」

一気に海水を引き上げ、面白人間と自分を囲った。広範囲でかつ僕に蹴り喰らわすのと同時だから逃げらんなかったみたいで、面白人間は肩を竦めて見せる

「おめェもただじゃァいられねェだろ〜?能力者なら当然だよねェ?」
「え?は?いや、僕泳ぎ得意だから平気です・・・」
「・・・オ〜・・・そいつァビックリしたよォ〜。」

本気で驚いてるらしい面白人間はざぷんと海水を満たした中で焦ったような顔をして、僕に手を伸ばした

途端に凍る海水に僕は慌てて海水から出て、面白人間の片方は氷を溶かし片方は光の粒になって抜け出す
二人ならいけるし三人もなんとかなるけど、氷は相性悪い気、するな。

「あらら、お二人さん情けねェな。」
「本当だよねェ〜・・・油断、しちまったよォ〜・・・」
「げほっ、ごほっ・・・!容赦ァせェけんのォ!!」
「そっちが仕掛けてきたくせに!理不尽だ!」

海水を持ち上げても氷にされてしまうし、レーザーにマグマに面白人間万国吃驚ショー開催に巻き込まないでほしい
マグマが降り注ぐ。どでかい氷を当てて相殺させ、レーザーは海水で反射角度を変えた。いつまで保つかわからないけど、僕が氷を作った時点で氷人間の目が鋭くなったから瞬殺の可能性あり

「悪魔の実、か?」
「違うみてェだよォ〜。」
「おどれが死なん限り移りゃァせんのじゃ。」
「父親からの遺伝だよ!この世界には何人の氷人間がいるんだい?」
「オォ〜・・・クザンの子かァい?」
「ちげェよ心当たりない。でも、氷結人間はおれ一人だ。」
「名前は?」
「あ?・・・海軍大将青雉。じゃわからねェか?」
「名前。名前だよはやく!あんたの名前がいるんだ!!」
「ぐあっ!?」

風を操るのは本当に疲れるんだけど、仕方ない。空気で圧をかけるように念力を使えば海軍大将青雉?を捕まえられた
こっちは父親に会えたかどうかの瀬戸際なんだからレーザーで撃たれても耐えられる。マグマで灼かれても、笑っていられる

「名前。教えてよ。」
「っ、ぐぅっ、・・・っ!クザン、だっ!アイスブロック!パルチザン!!」
「っ!ああッ!!」

深く深く、僕を抉っていった三つ叉の槍。僕は崩れるように海水に叩きつけられ、意識を失った

「・・・僕の父親は、なら、どこに、」

母さん、教えて