僕は好きな女の子がいる。
くのたまの同学年しらゆきひめちゃん。ひめちゃんの良いところいっぱいあるから、簡単にまとめて言うね。天然でちょこっとドジなところがあるけど、すごい努力家で何事にも一生懸命。雰囲気が柔らかくて周りに親切。くのたまらしくないくのたま。とにかく、とても可愛い女の子なんだ。

ひめちゃんと出会ったのは2年生の時。くのたまに騙されて落とし穴に落とされた時に、僕を手当てしてくれたのが彼女だった。その時は、くのたまが恐ろしい存在だったから、手当てされるのが怖かったんだよね。保健室で2人きりだったんだけど、彼女は処置をしながら、「痛い思いをさせてごめんね。」って、彼女が罠を仕掛けた訳でもないのに謝ってきたんだ。その言葉を聞いて、この子は優しい子だなーって思った。
だけど、この時以来くのたまとの関わりもなくなってしまって、彼女と関わることなく2年も経過してしまった。
4年生になって、合同演習でやっと再会できたんだ。彼女は髪も伸びてとても可愛くなっていたけど、柔らかい雰囲気であの時のくのたまだってことに気がついた。そして、偶然同じ組になって、彼女と関われる機会ができた。


「気がついたら好きになってたんだよね。」


演習後も学園内や食堂、図書室で会うようになってその度に声をかけていたら彼女と仲良くなっていた。そして、いつの間にか恋心が生まれていた。彼女を見るたびに胸が高まって彼女と話した日はとても気分がよくて。彼女に恋してる、と最近になって気がついた。自覚してからますます彼女への想いが強くなっていった。


「……告白すればいいじゃないか。」


そしていま、彼女への想いをどうすればよいか三郎に相談していた。


「こ、告白…!?」


三郎は簡単に言うけれど、告白なんてそんな大それたこと僕にはできない。彼女にとって僕は友達の1人。振られるのはわかっている。振られて気まずくなって彼女と疎遠になるくらいなら友達として近くにいれた方がまだいい。


「好いてるならするものだろ?」

「で、でも。振られるのはわかってるし。」


おまけに彼女には忍たまに幼なじみがいる。とても仲が良いし、噂によれば結婚の約束をしているとかなんとか。割り込めるはずがない。


「振られる…?なんでそう思うんだ?」

「だって、彼女は…」

「単なる噂だろ、アレは。」

「あ、それに、委員会。」


彼女は1年の頃から会計委員会に所属している。会計委員会委員長といえば、学園一忍者しているという潮江文次郎先輩。その先輩と1年から付き合っているということは、忍術だけでなく三禁についてもきつく言われているはず。


「おかしいのは先輩だけだから気にするな。」

「…でも。」

「あーもう!でももだってもあるか。」


三郎は僕の返事にイライラしているようだ。親身になって相談に乗ってくれるのは嬉しいけど、でも僕には告白なんてできそうにない。
彼女のことは好きだ、大好きなんだ。
でも。


「側にいたいっていう気持ちが大きいんだ。」


振られてしまったら、彼女の側になんていれないから。
僕はより真剣な顔で三郎に伝えた。


「……わかった。だがな、雷蔵。」

「なに?」


三郎からイライラが消えた。僕があまりにも頑固だから、三郎は折れたのだ。(ごめんね、三郎)
三郎もまた真剣な顔で僕に話してきた。


「振られると決めつけるのは良くない。雷蔵はしらゆきをもっと知るべきだな。」

「え…?」

「だから、しばらくしらゆきを追い回してみろ。」


真剣だった表情から、にやりと口元を吊り上げる三郎。
彼女を追い回す…?そんなことできるわけないじゃないか、と反論しようとするが、三郎の含みのある笑いかたを見ていたら、何か意味があるのではないかと思えてきたりもするわけで。


「……わかった、やってみるよ。」


今度は僕が折れて、彼女についてもっと知ることにした。僕の返事に三郎も満足したのか、頑張れよ。と笑いながら肩を叩いてきた。
何をどう頑張ればよいのかわからないけど、とりあえず相談者からのアドバイスなんだ。さっそく今日から実践してみようと思う。










好きになってた、どうしたらいい?

(でも、彼女を追い回すなんてことできるかな…)
(いつも通りすればいい)
((雷蔵は無自覚にストーカーしてるからな))






はい、連載スタート。
恋の相手は〜と同一ヒロイン。2人がバカップルになるまでの話を書こうと思います。

title:【確かに恋だった】様
20120509



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