**鉢屋三郎



「あ、来た。」

「相変わらず今日もラブラブだね。」

「おーい、らいぞー!」

「ハチ、止めとけ。独り身の私たちには刺激が強すぎる。」


学園内ではバカップルで有名な彼らが食堂へとやってきた。勘右衛門の台詞通り、相変わらずのラブラブな様子である。腕を組んだりだとか手をつないだりとかはしていないけれど、2人の緩みきった顔とほんわかなオーラをみればラブラブっぷりは一目でわかってしまう。私の観察力では少しばかり雷蔵の方が彼女への想いが強い気がするが。
迷い癖のある雷蔵だから、雷蔵が彼女に惚れて告白するまでに相当時間がかかったが、無事にこうしてくっつくことができたのだからダチとして喜ばしいことなんだろうけど。
だが、アレだな。こう、ラブラブっぷりを見せつけられると……。


「くそ、リア充爆発しろ。」





**久々知兵助



「雷蔵、また定食で悩んでるぞ。」

「どうせいつものようになるんだろ、クソリア充爆発しろ。」

「あぁ、アレかぁ。」


忍術学園内イチのバカップルの二人。
そして今もバカップルぶりを発揮している最中だ。
迷い癖のある雷蔵は定食をどちらにしようか決められないでいる。
からあげか焼き魚か。肉か魚か。育ち盛りの俺たちにとったら栄養源になるたんぱく質。迷うのもわからなくはない。ちなみに、豆腐の原料である大豆は畑の肉と言われるくらい良質なたんぱく質を含んでいて………というわけなんだ。
絶賛迷い中の雷蔵であるが、彼女もそれに慣れたようで。


「はんぶんこ…か。」


なんともまぁ甘酸っぱい対処法を見つけたものだ。まぁ、そしたら両方食べることができるし、なんといっても好いた人と共有できるという一石二鳥な方法だから、良い案だと思う。俺だって、豆腐料理を彼女とはんぶんこできたら嬉しい。
だが、アレだ。第三者として見るには少しばかり刺激が強すぎる。


「リア充爆発しろ…なのだ。」





**尾浜勘右衛門


「あ、あそこの席に座ったぜ。」

「人の目につきにくい場所を選んだようだけど…」

「すでに注目浴びてるんだからな!リア充め!」

「兵助、三郎。向こうに聞こえちゃうよ。」


バカップル二人は食堂の隅の席に向かい合って座った。この席からだと雷蔵の顔しか見えないけれど、雷蔵のデレデレな顔を見ると彼女もまた同じような顔をしているんだろう。うん、幸せそうで何より。
これから仲良くおかずをはんぶんこするんだろう。雷蔵はからあげをひとつ箸で掴んだ。そしてそれを彼女の皿の上に置…………かない。(あれ?なんで?)
雷蔵はからあげをそのまま彼女の口元へ近づけて、何か言っている。なになに。


「あーん、しよ?………だって?」


雷蔵の口の動きを見たらそう言っているようだ。あーんだって?あーん?あーん?
雷蔵の顔は相変わらず笑顔だけど、纏っているオーラが黒い。
俺は三郎や兵助みたいにカップルを妬ましくは思っていないけど、さすがにあーんはうらやましい。俺だって彼女にしたい!されたい!


「リア充なんて爆発しちゃえよ、ばか。」





**竹谷八左ヱ門


「おほー!やるなあいつら。」

「あーん、って、ズルい!俺もしてほしいよばか!」

「雷蔵が遠すぎる…雷蔵の隣は私の場所なのに。」

「豆腐をくれ。豆腐だ。」


バカップルだとは思っていたが、予想を上回るバカップルだったようだ。あーん、なんて、甘すぎる…!
おまけに雷蔵は彼女にもあーんを迫りやがった。雷蔵は周りにとても優しいヤツだけど、それと同時に策士でもある。だいたいの人はあの笑顔に騙されるけど、さすがに5年も一緒にいれば雷蔵の裏の顔も見えてくる。彼女はそれに気がついているのだろうか。彼女は天然入っているし超がつくほど鈍感だ。ホイホイと騙されてしまう。
現に今、雷蔵の笑顔に騙されてあーんをしてしまっているわけだし。
彼女を思うと少し不憫だな、と思うこともあるが、いやでも、彼女としても彼氏といちゃつくことができるわけだし、なんだかんだでラブラブなのは変わらないわけで。
こう考えると、うん。すごくうらやましくなってきた。くそ、俺も彼女欲しい!


「リア充爆発しろー。」





**六年生


「おい、文次郎。あのバカップル共をどうにかしろ。」

「雷蔵もやるなー。私も彼女が欲しくなったぞ。」

「つーか、なんで雷蔵なんだよ。俺のお嫁さんになるって約束しただろー。」

「留さん…。」

「雷蔵は……策士。」


学園内の名物となりつつあるバカップルの食事風景。だが、今日はやり過ぎなようである。
食堂は学園内の人間が利用する公共の場だ。先生方から低学年まで様々な年齢の人間がいるわけで。
普段のいちゃつきぐらいなら低学年でも見せられる程度なのだが、食べさせ合いっつうのはさすがに、だ。
ひめは俺の大事な後輩。そんな彼女に彼氏ができたと聞いた時は、正直寂しい思いもあったが、相手が雷蔵と聞いてホッとした思いもあった。どこの馬の骨とも分からないヤツにはひめは渡したくなかったからな。
そういう意味では雷蔵でよかったと思うが、彼氏としては如何せん不安感を拭いきれない。
長次の言葉通り、雷蔵は策士な一面がある。そして、なにより ひめへの想いが強い。
ひめはそれに気がついているのか知らんが、(多分気がついてないだろうが)その想いが ひめにとっていつか重荷になるのではないか不安なのだ。
だから、これから注意をしにいくついでに雷蔵を試してみようと思う。別に取られた腹いせとかそういうのではない。雷蔵が ひめにとって相応しい相手なのか見極めてやるためだ。


「別に悔しいわけじゃねーよ。」


雷蔵のやつ、あからさまに殺気放ってきやがった。くそ。









リア充爆発しろ

((やばい!雷蔵がこっち見てる…!))






やっとおまけ書き終わった。
くっつくまでのお話を連載でやろうかしら。


20120504



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