- ナノ -
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春っていつまでも眠たいよな。竜に鞍をかけながら、彼はひとつ欠伸をした。竜はちらと彼を見やり、いまから飛び立つ空に目を移して言った。どうやら眠たくなるのは、わたしたちだけではないらしい。
雲のない空には、ふんわりと霞がかかっている。微睡んでいるかのように。
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