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　その花なんだけどね。大地の遥か彼方までを覆う黄色い野花の話を竜から聞き、彼は言った。竜に乗って旅に出たある青年が、旅の途中、故郷にいる恋人に贈りたいと思うほどの美しい花を見つけたらしい。でも花は枯れてしまうから、その種を持ち帰って故郷で植えたら、近くの荒地まで種が飛ぶほどに咲き誇ったとかいう話があるんだ。
　ほんとかどうかわからないけど、と彼は笑った。

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