- ナノ -


537
 
 とにかく遠くまで飛びたいと願っていた。休まず飛び続けて、この世界のことを少しでも多く知りたいと。
 しかし、竜といえども無理を重ねることはできなかった。そのうち、飛ぶことはおろか、動くことさえままならなくなってしまったのだ。
 そうして竜にもわかった。自分の体を蔑ろにして進もうとしても、行き詰まってしまうことが。小さな前進でも、それを続けていくことで、大きな前進になるのだと。


[