- ナノ -


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 何かひとつ解決したかと思ったら、すぐ次の問題が起きやがる。苦々しい顔をして、彼はそう呟いた。まったく、いつまで悩んで、苦しめばいいんだろうな。
 空を飛ぶとき、と竜は徐に言った。竜であっても、危険とは隣り合わせだ。悩みも苦しみも尽きない。だが、飛ばなければ見えない景色もあったし、出会えなかったものもあった。だから、そう悪くはないよ。
 そんなものかな、と彼。そんなものだ、と竜は頷いた。


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