- ナノ -


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 ドラゴンさんまだ起きてたの、と仕事から帰ってきた彼は言った。何故か眠れなくてな。竜は困ったように頭を掻く。竜にも効くかわからないけど、耳の体操でもしてみる? と彼。なんでも、耳をほぐすと体が温まってよく眠れるらしい。耳を外側に引っ張ったり、折り畳んだりしてみせる彼に、竜は思わずふっと笑みを浮かべた。なんだよー、と彼は不服そうだが、竜の笑顔は収まらない。なんだか、見ていると心のほうがほぐれてな、と竜は言った。彼の真似をしているうちに、いつの間にかぐっすりと眠っていた。


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