- ナノ -
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湖の時は止まっていた。一面、氷の静寂に包まれている。竜が湖面に舞い降りても砕けることはない。身を屈めれば、浮草も、水の中に落ちた葉も、そのままの色や形で氷に閉ざされているのが見えた。眠っているようだった。
灰色を帯びた白雲が、向こうの空に広がった。雪が降り出しそうだ。
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