- ナノ -
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いまいましい月め、と男は竜の背の上で悪態をついた。どうせ俺なんか、太陽がなきゃ光れないあの月の野郎と同じなんだ。竜は男を乗せて羽ばたきながら、静かに言った。太陽の光を素直に受けて輝けるのも素晴らしいと思うのだが。男ははっとして押し黙った。
月は正面から、男と竜を優しく照らしている。
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