- ナノ -


399

 竜の雨傘、と呼ばれる木がある。その木のつける葉は人なら子を包めるほど大きいため、竜が雨を凌ぐのに使ったというのだ。まあ、竜がほんとにいたか知らないけど、と人間は呟く。こんな大きな葉っぱなら、確かに竜だって雨を避けられそうだなあ。
 彼の言葉を知ってか知らでか、木の葉は風に揺れてさわさわと音を立てた。 


[