- ナノ -
379
その村の外れには大穴があった。誰がどのように作ったのか、底に村を守る神の祠があるという。ただ、穴は深く実際にその祠を見たことがある者はいない。
力強く飛べる君なら穴底を確かめて戻ってこられるかもね、と人間。竜はかぶりを振って言った。たとえそうでも、見ない方がいい。人間はにやりと笑う。それはそれとして、気になりはするでしょ、祠。数秒の間を置いて、竜は小さく頷いた。
[
←
〇
→
]